学部長からのあいさつ

新しい農学の時代に向けて

香川大学 農学部
学部長 片岡郁雄


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 今,私たちの社会は大きな変革のうねりの中にあります。様々な技術革新により,生活の利便は格段に向上し,国内外の食材をふんだんに取り入れた食生活は豊かで華やかなものとなりました。誰もがこの豊かさを享受しつつ,将来にわたり持続されることを願っています。しかし,その一方で,急速な経済の拡大やグローバル化の進展の影には,様々な格差が生じ,人々や地域社会の疲弊を招きました。また,前世紀後半からの人類の生産消費活動の爆発的な増大は,世界的な規模での気候変動をもたらし,生活環境の悪化や食料供給の不安定化を引き起こしています。さらに,我が国を筆頭に多くの先進国では,少子高齢化による社会の活力衰退が懸念されています。
 このような時代にあって,未来の活力ある社会構築の根幹として,農学の重要な使命が今あらためて認識されています。安全で安定的な食料の生産と供給,動植物資源を活用した有用物質の探索や活用,好適な環境の保全・修復,これらの基盤となる遺伝子源の確保と利用など,いずれも農学の教育研究の主体となるものです。
 香川大学農学部は,母体である明治36年に設置された木田郡立乙種農学校の時代から現在に至る百余年に渡り,社会の要請に応えて教育活動に取り組み,各界に有為な人材を輩出してきました。教育課程の改革は現在も不断になされ,平成25年度入学生より,応用生物科学科1学科4コースを5コースに拡大し,学士課程教育を充実します。大学院農学研究科では,学内外と連携して運用する本学独自の「希少糖専攻」を含む3専攻を設置しており,いずれも徹底した英語教育と多様な専門科目により実践力を備えた高度な専門グローバル人材の養成に務めています。
 研究面では,7つの研究領域に所属する教員が,農学部独自に設置した領域横断型の重点研究に取り組む4つの研究センターに自由に参画することで,より活発な研究活動を展開しています。その成果は,希少糖の開発と農業や食品への応用,瀬戸内海の環境解析と保全,植物ストレス遺伝子の機能解析,イネや果樹などの実用品種開発など,基礎研究の範囲に止まらず,広く社会政策や産業振興に活用されています。
 また,世界各国の大学と協定を締結し,留学生の受入,日本人学生の派遣,研究者の相互交流を活発に行っています。さらに,民間企業との連携による留学生の受入や国内外の大学とのコンソーシアム方式による学生の相互派遣など,様々な先進的国際教育プログラムを実施しています。
 香川大学農学部は,学生・教員・事務職員が一体となり,明るく健全な未来の実現に向け,いま一度農学の原点に立ち返りつつ,本学の特色と強みを活かした教育研究を展開します。入学を希望される皆さんやご父兄の皆様,地域社会・関係企業の皆様におかれましては,ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 新しい時代の農学を切り拓く,香川大学農学部にどうぞご期待下さい。