- 亜種 epiphanes Schmid, 197027) [♂,♀]
(分布)SOLOMON 諸島: Makira (=San Cristobal, Bauro)島(Kirakira, Manibena (=Manipwena), Manowiriwiri, Ravo川下流域 (=Wainou, Wainoni)), Uki Ni Masi (= Ugi, Uki)島, Santa Ana (=Owa Rafa)島。[分布図7]
(発見と原記載のエピソード) 今までに何人かの人々によってこの島の探索が行われたにもかかわらず、発見されなかった。その中の一人である有名な採集家Meekでさえも1903年、Tring博物館の標本蒐集のため訪れたが、その姿さえ目撃することができなかった。その後、調査らしい調査も行われず時は過ぎたが、1964年Straatmanはついに奇跡的といえる発見をなしとげた。彼(1969)は「♀の斑紋は他のどの亜種よりも大きく、そして黄色が強い。♂の前翅は明るい緑色と黄色の斑紋が互いに結合する。また、両性とも他の島々のものよりわずかに小型である。」と述べているように、これは亜種に違いないと考えた。それを確認するため、その翌年、カナダの昆虫研究所にいたSchmidに4対の標本を送った。Schmidも同意見で、それを新亜種として認めた。最初、書簡のやりとりの中で、両氏は新亜種名を生息地San Cristobal島にちなみcristobaliと仮命名したが、結局epiphanes(古代皇帝の称号、神の栄光に輝くもの)と命名した。丁度その頃、SchmidはWilson夫人から同島で採集した2♂♂、9♀♀を入手した。そこで、合計、6♂♂13♀♀の標本をもとに、その代表的な斑紋を有する個体をそれぞれ完模式標本(♂)と副模式標本に選び、1970年新亜種として正式に発表した。
(特徴)比較的新しく発見された亜種で、生息地は分布上南限。両性とも斑紋に黄色が広がるのが特徴である。
(斑紋)♂:亜翅頂斑は亜種の中でも最大で、翅底斑も広がるため両斑紋が緑色鱗の散在で結合する個体が多い。後翅の亜外縁斑が大きく、黒色外縁帯が狭い。また、斑紋が全体に黄金色が濃いのが特徴である。
♀:亜種reginaeに似るが、灰白色斑はより大きく、前・後翅の翅底部の斑紋の黄色が亜種中最も広がり、個体によっては前翅の翅底条に緑色鱗が散在する。
(変異)
♂-f. julesi Deslisle & Sclavo, 20087): (前・後翅の斑紋変異) 斑紋が著しく縮小する黒化型。
♂-f. brossardi Deslisle, 19954) (➡victoriae)
♂-f. porteneuvei Deslisle & Sclavo, 20158): (前翅の斑紋変異)infantaとbrossardiとの混合。亜翅頂斑が広がり、その中に半透明黄金斑点が存在するもの。(➡regis)
♂-f. belai Deslisle & Sclavo, 20087): (前翅の斑紋と色彩変異) 翅底斑が縮小し、亜翅頂斑に赤色斑が存在するもの。
♀-f. nebulosa Deslisle & Sclavo, 20158): (前・後翅の斑紋変異) 灰白色斑が著しく縮小する黒化型。亜種regisの変異nocturnus と同じ変異。