22. 亜種 admiralitatis (Rothschild, 1915)52) [♂,♀]
(分布) PNG [MP] Admiralty 諸島(Manus島, Los Negros島, Tong島, Rambutyo 島, Lou 島)。[分布図28]
(発見と原記載のエピソード)1913年、Meekらはアドミラルティ諸島をはじめニューギニア北東海岸の島ダンピエール(Dampier = Karkar)島などへ採集を試み、その時マヌス島で1♂、8♀♀を採集した。しかし、この採集旅行中、彼は重症な日射病にかかり、採集は専ら助手が行ったようである。原記載は1915年、Rothschildにより発表された。亜種名は生息地Admiralty諸島にちなむ。
(特徴) 中型の亜種。
(斑紋)♂:前翅の亜前縁帯は最も狭い東側群よりは多少幅広いがPriamus亜種群ほど広くはない。亜外縁帯はPriamus亜種群と同様に波状であるが、臀縁帯との連続は東側亜種群と同様に微細である。Priamus亜種群や東側亜種群と同様に翅央部斑はない。後翅の前縁室には半透明黄金斑点があり、黒色翅室斑点はPriamus亜種群に似て、円形をしたものが3ないし4個ある。黒色外縁帯はPoseidon亜種群ものよりやや広く、その一部が翅脈に沿って線状に中室側へ伸びるのが特徴である。
♀:濃色型のみが知られている。翅形および斑紋はかなり安定している。翅幅は狭く、前翅の後角が丸味を帯びる。後翅の外縁は波状の凹凸がある。翅の地色は濃褐色で斑紋は前翅では小さく、外縁斑は不明瞭で、中室斑も数条に分離する。後翅の翅室斑は楔状で黒色翅室斑点はハート型で比較的大きい。
(変異)♂-f. moinieri Blandin, 19693): (黒化型)前翅の臀縁帯-亜外縁帯が極めて狭く短い。後翅では黒色外縁帯が幅広く、黒色翅室斑点が非常に大きく、前3個は互いに融合する上、亜前縁室はほぼ完全に黒化する。同じ変異としては亜種 euphorion ♂-f. beuriei 43)、亜種richmondia ♂-f. reducta 21)、亜種poseidon ♂-f. melania 55)などがある。