18. 亜種 bornemanni Pagenstecher, 189439) [♂,♀]
(分布)PNG [NBP] New Britain島 (Kimbe, Hoskins岬, Keravat, Kokopo, Rabaul), Matupit島。[分布図24]
(発見と原記載のエピソード)ニューブリテン島産と思われる種priamusについての最初の報告者はSalvinとGodman (1877)である。彼らは、宣教師Brownがデューク・オブ・ヨーク諸島、ニュー・ブリテン島およびニュー・アイルランド(New Ireland)島などで採集した多数の標本の中にあった4♂♂に基づいて記載したが、残念なことにBrownが採集地を明記していなかったため、斑紋の色、翅形および後翅の黄金斑の欠如などからarruanaと同一亜種にしてしまった。その後Pagenstecher (1894)は、Ribbeがニュー・ブリテン島のガゼレ半島のキニニグナンで採集し、ドイツのナウムブルグのSchönbergとマグデブルグのBornemannの二人の蒐集家に送った標本のうち、Bornemannより譲り受けた♂♀の標本をもとに亜種pegasus (poseidon)の変異として記載し、その変異名も彼の名にちなみbornemanniとした。そして、後日、彼(1898)は亜種に昇格させた。
(特徴)New Britain島は東(Solomon諸島)へ移行する第1(北東)ルートの初期の移行場所と考えられる。
(斑紋)♂:斑紋の色は純緑色か濃緑色。前翅は幅広く、後翅は翅頂が尖り外縁の波状の凹凸が少ない特有の三角形をしている。亜前縁帯、臀縁帯 – 亜外縁帯は狭く、特に臀縁帯は中断する個体が多い。翅央部条斑は微細。後翅の黒色鱗の陰りは軽度で、亜前縁室の半透明黄金斑は微細かまたは欠如する。
♀:多くは淡色型であるが、翅の地色が淡褐色から濃褐色(濃色型)まで個体差がある。後翅の外縁の波状は軽度で、翅室斑は短く、暗色翅室斑点はほぼ円形で小さい。後翅裏面の亜外縁は黄色。
(変異)♂-f. viridilineata Haugum & Low, 197921): (前翅の斑紋変異)前翅の肘脈に沿う緑色鱗(翅央部条斑)は大きく広がり、すべての分枝に沿って伸びる。亜種 urvillianus ♂-f. radiata Rousseau-Decelle, 193553)と同じ変異。
♂-f. jakuschi Deslisle & Sclavo, 201510): (前翅の斑紋変異)非常に拡大した亜前縁室帯、臀縁帯および亜外縁帯が亜翅頂部で結合し、緑色鱗が翅央部条斑や近接する翅脈に広く散在する。後翅は♂-f. cronius型のように黒色翅室斑点を欠如する。
♂-f. nishiyamai Deslisle & Sclavo, 201510): (前・後翅の色調変異) 斑紋の色が青色に変異したもの。
♂-f. delucai Deslisle & Sclavo, 201510): (後翅の色調変異) 後翅表面の翅底部に円形のコバルトブルーの斑紋(直径約2cm)が存在するもの。
*f. loc. wituensis d’Abrera, 20036) [♂, ♀]
(分布)PNG [NBP] Vitu (=Witu, French) 諸島。[分布図24]
(特徴)亜種bornemanniに酷似するが、幾分小型である。
(斑紋)♂:翅の斑紋の色は暗い青緑色をしている。後翅は翅頂が尖り、黒色鱗の散在が濃く、黒色翅室斑点が微細である。
♀:翅の地色が暗い。前・後翅の斑紋はより小さい。