16. 亜種 demophanes Fruhstorfer, 191318) [♂,♀]
(分布)PNG [MBP] D’Entrecasteaux 諸島 (Fergusson島, Normanby島), Trobriand諸島 (Kiriwina (=Trobriand)島, Kaileuna島, Vakuta島), Engineer諸島。 [分布図22]
(発見と原記載のエピソード)ファーガソン島産の最初の報告者はRothschild (1895)である。彼は♀の黒化型(♀-f. brunneus)をposeidonの変異として記載した。しかし、Fruhstorfer (1913)は、ファーガソン島、トロブリアンド島およびエンジニア諸島のものは南東ニュー・ギニア産の亜種eurysaces (= poseidon)とは異なることを指摘し、別亜種demophanesとして同じ論文に記載している。
(特徴)東(Woodlark島)へ移行する第2(南東)ルートの初期の段階と考えられる。
(斑紋)♂:亜種poseidon より翅央部条斑が微細で、外縁帯の幅が狭く波状を帯びる。後翅の翅頂は丸味を帯び、亜前縁室に半透明黄金斑はなく、翅底から黒色鱗が濃く広がる。また、黒色翅室斑点は前縁側ほど大きくなる特徴がある。斑紋の色は濃い緑色で幾分青味を帯びる。
♀:淡色型のみ。前翅の翅頂は尖り、翅幅は狭い。後翅の外縁の凹凸は顕著。前・後とも斑紋は小さく、灰褐色鱗による陰りが強く不明瞭。外縁斑が大きく黄褐色、腹部の側下面が橙褐色であることが特徴である。
(変異)♂の前翅の翅央部条斑の変異以外は、あまり特異な変異は知られていない。
♀-f. brunneus (Rothschild, 1895)49): (黒化型)前翅の第2室の小斑点を除き、すべての白色斑を欠如するもの。
*f. loc. goodenoughensis Deslisle, 20047) [♂, ♀]
(分布)PNG [MBP] D’Entrecasteaux 諸島(Goodenough 島)。 [分布図22]
(斑紋)♂:Goodenough 島産は他の島に生息するdemophanes とは、後翅の亜前縁室に半透明黄金斑点が存在すること(出現しない個体もある)以外には相違点は見い出せない。
♀:亜種demophanes と同様に淡色型のみで、斑紋の相違は見られない。
*f. loc. medeia Kobayashi, 198726) [♂, ♀]
(分布)PNG [MBP] Trobriand諸島 (Kitava島), Marshall-Bennett諸島 (Iwa(=Jouveney)島, Gawa島)。 [分布図22]
(特徴)亜種poseidonが東へ拡散していった第2ルート(南東ルート)の最終分布地であるWoodlark島への途中であることを証明しているようで非常に興味深い。
(斑紋)♂:斑紋は亜種demophanesと変わらないが青味を帯び暗い。
♀:斑紋が亜種demophanesと亜種boisduvaliiとの中間を示している。前翅の斑紋は小さく、中室斑は微細、小さい3個の翅室斑と数個の亜外縁斑点があるだけで、褐色鱗の陰りは少なく白い。後翅の翅室斑は亜種demophanes とほぼ同じ大きさで亜種boisduvaliiよりは大きい。