9. 亜種 teucrus (Joicey & Talbot, 1916)24) [♂, ♀]
(分布)INDONESIA [Irian Jaya] Biak島, Supiori 島。 [分布図19]
(発見と原記載のエピソード)それまで未知であったビアク島でのチョウの調査が、Pratt兄弟により1914年5月から6月にかけて行われた。新種や新亜種がその調査で実に61も発見され、同島に生息する唯一のOrnithopteraである本亜種も同時に発見され、135♂♂110♀♀が採集された。この多数の標本をもとにJoiceyとTalbot (1916)は新亜種teucrus(ギリシャ神話のSalamisの王Telamonの息子の名)として記載した。
(特徴)両性とも斑紋は安定していて他亜種との識別は容易である。
(斑紋)♂:斑紋の色が明るく、翅形はやや丸味を帯びる。前翅の翅央部条斑は明瞭に存在し放射状になる(亜種urvillianus ♂-f. radiata )傾向がある。後翅は黒色鱗がほとんどなく、多くの個体では亜前縁室に半透明黄金斑が存在し、黒色翅室斑点は微細かまたは欠如する。胸部の紅毛は多い。
♀:亜種poseidonの西部産に似るがやや小型で翅幅が狭い。前翅の白斑はすべて存在し、特に中室斑は特徴的で、大きく中室のほぼ1/3を占める。後翅の翅室斑も大きく、多くは中室端にも白斑が存在し、第6室では2個存在するのが特徴である。
(変異)次のような個体変異が知られている。
♂-f. discalaureopunctata Deslisle & Sclavo, 201510) (前・後翅の斑紋変異) 前翅はf. viridodentis に似る。後翅には数個の半透明黄金斑点が2列に存在する。
♂-f. aureoradians Deslisle & Sclavo, 20089) (➡hecuba )
♂-f. viridodentis Deslisle & Sclavo, 20089) (➡misoollae, arruana )
♂-f. aurora Ohya, 199937): (後翅の斑紋変異)表面の黒色翅室斑点はすべて欠如し、亜前縁室および亜外縁に数個の黄金斑点が存在するもの。
♂-f. unipunctata (Dufrane, 1946)14): (後翅の斑紋変異)第5室に小さい黒色翅室斑点が1個だけ存在するもの。
♂-f. nathalieae Deslisle & Blanko, 201510): (前・後翅の色調変異)前翅表面で、亜前縁帯・臀縁帯・亜外縁帯および翅央条斑の基部は少しの範囲が青緑であるが、次第に金橙色に変り、最後には濃いオレンジ色になる。後翅は緑色で、前縁から第5室まで前・側縁に沿って帯状に金橙色に変色したもの。
♂-f. robitaillei Deslisle & Blanko, 201510): (前翅の色調変異) 亜前縁帯と亜外縁帯の翅頂部が褐色鱗で覆われ、先端にいくにつれて暗色化するもの。(人工的?)
♂-f. barbarossa Attal, 19881): (特殊な変異) 胸部上面の緑色斑の両面から背部に向って紅毛が現れるもの。
♀-f. pseudoaesacus Deslisle & Sclavo, 201510): (前・後翅の色調変異)前・後翅に黄色を欠如するもの。種aesacus ♀に似る。