2.亜種goliath Oberthür, 188816) [♀][♂: (Joicey & Talbot, 1917)12)]
(分布)INDONESIA [Irian Jaya] Waigeo 島, Sayang島 (?)。 [分布図51]
(発見と原記載のエピソード)最初、Oberthür (1888)は1♀をもとに種arruana (現在ではメガネトリバネアゲハの亜種)の変異として記載したが、その後1894年、独立種として改めて発表している。その完模式標本の採集地、採集年月日および採集者については原記載には述べられていないが、1894年の論文の序文に、「この標本は、故A. Depuisetが派遣したL. Laglaizeがニューギニア近辺の島嶼で採集したもので、Depuisetはその採集地はワイゲオ島だと述べている。しかし、入手するまでに多くの人々の手を経ているため正確なことはわからない」と記している。一方、♂に関しては、Talbot (1916)がTring博物館所蔵の、ペラウ産の1♂について報告しているが、これが本亜種に属すかどうかわからない。正式な♂の記載はその翌年、JoiceyとTalbot (1917)によってなされたが、この標本はPratt兄弟が1915年の4月から5月にかけて、ワイゲオ島で採集したものである。なお、種名は、羊飼いDavidに殺されたペリシテの巨人ゴリアテ (Goliath)にちなむ。
(特徴)最初の発見以来、わずかな標本しかなかったので、長い間同島での生息が疑問視されてきた。しかし、2003年再発見され、生息することが確認された。
(斑紋)♂:前翅の肘状帯は黒色鱗による陰りが濃い。後翅の緑色翅室斑点は小さく2個の個体(他の亜種は多くは3個)が多い。
♀:前翅の中室斑と翅室斑は白く大きく目立つが亜外縁斑は小さい。後翅の翅室斑は黒色鱗で濃く覆われ、暗色翅室斑点は大きく、亜外縁は汚黄土色。腹部の上面は灰色、側下面は黄色で体毛は無い。