arfakensis（名義タイプ亜種）

1. 亜種 arfakensis (Joicey & Noakes, 1916)⁷⁾ [♂, ♀]

（分布）INDONESIA [Irian Jaya] Doberai 半島 (Arfak 山脈 (Meni, Minyambow, Anggi Gigi-Anggi Gita, Memti, Sibjo), Tamrau山脈 (Kwoka山, Irau山)。 [分布図33]

（発見と原記載のエピソード）JoiceyとNoakes (1915)によって記載された最初の標本は2♂♂4♀♀であった。この標本は、A., C. およびF. Prattが1914年1月から3月にかけて、アルファック山脈地帯のアンギ(Anggi)湖近くの標高6000フィートで採集したものである。

（特徴）高地性のよく知られた亜種。

（斑紋）♂：翅形は丸味を帯び、尾状突起は非常に僅かではあるが短い。前翅の亜前縁帯は基部では緑色を帯びるが亜翅頂部で黄色が増す。肘状帯は狭い。後翅の黄金斑は他亜種より広がる。尾状突起の基部内側が黒色なのが特徴。腿節は黒。

♀：前翅の翅頂は丸味を帯び、後翅の後角が伸びる特有な翅形をしている。斑紋はすべて揃っていて大きく白色。後翅では翅室斑は翅底部近くまで広がり、暗色翅室斑点は丸くやや小さい。

（変異）多くの変異が報告されている。

♂-f. oculisaureus Parrott & Deslisle 1986¹¹⁾: (前翅の斑紋変異）第６室に半透明黄金斑点が存在するもの。

♂-f. defayettei Deslisle & Sclavo, 2008²⁾: (前翅の斑紋変異）亜前縁帯の７室に通常は見られない境界不明瞭な赤色の楕円形をした斑紋が存在するもの。

♂-f. aurifluoides Haugum & Low, 1979⁶⁾: (前・後翅の色調変異）前翅の斑紋の色は黄金色で明るいオレンジ色の幻色がある。後翅は明るい黄緑ではなく黄色。

♂-f. antoni Deslisle & Sclavo, 2015⁴⁾: (前・後翅の色調変異) 前・後翅の表裏とも半透明黄金斑を含めほぼ完全に赤色鱗で覆われるもの。

♂-f. schencki Deslisle & Sclavo, 2012³⁾: (前翅の色調変異）前翅表面の緑色帯が完全に赤い鱗粉で覆われるもの。

♂-f. gillesi Sclavo, 2012³⁾: (前翅の色調変異）多色変異。基部が青色で、翅頂へ向い中央部は少し緑色、亜翅頂部で明るい黄色になり翅頂部は緑色。

♂-f. ouvaroffi Deslisle & Sclavo, 2015⁴⁾: (前翅の色調変異) 亜前縁帯がほぼ全体、または完全に赤色に変色したもの。

♂-f. caudaflammeus Deslisle & Sclavo, 2015⁴⁾: (後翅の色調変異）裏面で尾状突起ないし第１室の基部が赤黄色に変色し、周辺近くまで広がる。

♀-f. pseudomeridionalis Deslisle & Sclavo, 2008²⁾: (特殊な個体変異）大きさや斑紋などmeridionalisに酷似するが、後翅の後角が尖るという特徴は残る。

♀-f. zoeae Deslisle & Sclavo, 2012³⁾: (後翅の色調変異）翅室斑の色がレモン黄色で中室では明るいが、外縁へ向かうほど暗色鱗で濃く覆われる。

＊f. loc.(?) fernandi Deslisle & Sclavo, 2012³⁾ [♂, ♀]

（分布）INDONESIA [Irian Jaya] Yapen 島。 [分布図33]

（特徴）２♂♂,　1♀での記載。亜種arfakensisに酷似する。検索可能な標本が寡少のため、今後の検討が必要。

（斑紋）♂：後翅の翅頂は名義タイプ亜種より尖り、半透明黄金斑は第５・４室でも常に大きい。

♀：後翅の基部の暗色部が広がるため中室斑が短い。亜外縁の黄色部は黒色鱗で濃く覆われる。暗色外縁帯は名義タイプ亜種より幅広く、より顕著に波状になる。

（注）Supiori島産１♂、１♀だけが知られている。形態的には亜種arfakensisに酷似する。

＊f. loc.(?) wondiboiensis Deslisle, 2008¹⁾ [♂, ♀]

（分布）INDONESIA [Irian Jaya] Wasior, Wondiboi (=Wondiwoi) 山脈。[分布図33]

（特徴）４♂♂, 1♀での記載。開張は名義タイプ亜種より幾分大きい。資料不足であり、今後の更なる研究が必要である。

（斑紋）♂：前翅の亜前縁帯はほぼ緑一色で、翅頂部が黄色を帯びないのが特徴。

♀：前翅の斑紋が幾分小さく、黒色鱗でやや濃く覆われる。後翅の中室斑は短く、暗色翅室斑点も小さい。亜外縁の黄色部はより暗い。暗色外縁部はより幅広く内側の境界はぼやけて不明瞭。