2.亜種chrysanthemum Kobayashi & Koiwaya, 19799) [♂,♀]
=ornatum Schäffler, 200114) [♂, ♀] (Arfak Mts.)
(分布)INDONESIA [Irian Jaya] Arfak山脈地域(near Manokwari, Lower Memti, Upper Jamboi, Sibjo, Mismel, Bikela)。 [分布図35]
(発見と原記載のエピソード)原記載のもとになった標本は、1977年9月(1♀)、12月(1♂2♀♀)と1978年1月(1♂)、5月(1♀)および7月(2♀♀)に採集された合計2♂♂、6♀♀である。なお、亜種名chrysanthemumは、(原記載者の一人小林平一氏の居住地)姫路市が基産地であるキバナノジギク(chrysanthemum ornatum var. spontaneum f. flavescens)にちなんで命名された。
(特徴)亜種flavescensとの近似性が高く、同一亜種の可能性がある。
(斑紋)♂:名義タイプ亜種との決定的な識別点は見いだせない。腿節は黄色。
♀:翅の地色は黒色で、後翅の翅室斑が鮮やかな黄色である点は亜種flavescensに酷似するが、前翅の斑紋は多くの個体では亜翅頂斑、亜外縁斑および第2翅室の翅室斑だけが存在し、中室斑と翅室斑を欠くか微細な個体が多い。腿節は黄色。
(変異)♀-f. ornatum Schäffler, 200114):(前翅の斑紋変異)すべての斑紋が拡がり、中室 斑や翅室斑も出現するもの(亜種flavescensに酷似する)。
f. loc. (?) sabinae Schäffler, 200114) [♂, ♀]
(分布)INDONESIA [Irian Jaya] Nabire。 [分布図36]
(発見と原記載のエピソード)この地域変異の記載のもとになった標本の数やデータは明記されていないが、地域変異名に関してはこのタイプ標本の所有者であるZöller氏の配偶者Sabine夫人に因むと書かれている。
(特徴)亜種chrysanthemumとは、♀の後翅の翅室斑の内側が黄色ではなく白色であること以外には相違点は見られない。
(斑紋) ♂:亜種chrysanthemumとの識別点は見い出せない。腿節は黄色。
♀:記載された標本は亜種chrysanthemumの副標本と同じであるが、後翅の斑紋の内側が白色化する。腿節は黄色。(個体変異?)
f. loc. (?) kotaseaoe Dufek & Schäffler, 20063) [♂] [♀: unknown]
(分布)INDONESIA [Irian Jaya] Wandammen山脈北東部。 [分布図36]
(発見と原記載のエピソード)2001年9月から2006年4月にかけてWandammen山脈の北東部で採集された4♂♂の標本に基づいて、Dufek とSchäfflerの両氏により2006年にゴクラクトリバネアゲハの新亜種として記載された。亜種名はPNG(パプア・ニューギニア)のVickson Kotaseao氏に由来する。
(特徴)4♂♂のみで亜種として記載された。
(斑紋)♂:前翅先端が丸みを帯び、前翅裏面の黒色斑が広く尾状突起がほぼ全体に黒い。
♀:(著者所蔵)亜種chrysanthemumに似るが、前翅の中室に小白斑がある。
(Deslisle氏から提供された写真より。2025年1月26日):
♀:前・後翅とも亜種borchiに酷似していて、後翅の翅室斑は黄色ではなく白い。