5.亜種paradisea Staudinger, 189316) [♂][♀: schoenbergi Pagenstecher, 189312)]
= schoenbergi Pagenstecher, 189311) [♂](Finisterre山脈)
(分布)PNG [MGP] Aderbert山脈, Astrolabe湾地域 (Kau野生生物管理区, Madang (=Friedrich Wilhelmshafen), Ohu野生生物管理区, Stephansort, Bogadjim, Ileg, Bongu, Konstantinhafen), Finisterre山脈, [MoP] Finschhafen, Lae, Bulolo, Wau, [NP] Popondetta, [CeP] Angabunga川流域, Aroa川上流(Owgarra), Brown川流域, Rouna。 [分布図39]
(発見と原記載のエピソード)原記載のもとになった1♂の標本は、採集家Wahnesが、フィニステッレ山脈で採集したものを現地の採集人からコンスタンチンハーフェンで入手したものであった。その後、この標本はWahnesの派遣者であったW. von Schoenbergのもとに送られてきたが、彼はその記載を友人であるPagenstecherにゆだねた。その依頼を受けたPagenstecherは、自分の記載文に対する意見や助言を得るため、当時の世界有数の昆虫学者達に記載文と図版を送った。その中の一人であったStaudingerは、その原記載と図版だけをもとに、しかもPagenstecherが提唱するつもりでいたparadiseaという種名をそのまま用いて、1893年6月新種として報告した。一方、Pagenstecherによる記載文は、残念ながらStaudingerの論文よりも後に(多分1893年10月)、Ornithoptera Schoenbergi (= Schoenbergia Paradisea)として発表された。つまり、原記載者はStaudingerであるが、最初に発表しようとしたのはPagenstecherである。一方、♀はその後間なく、Wahnesがコンスタンチンハーフェンで2頭採集し、それを受取ったSchoenbergは、8月18日付でPagenstecherに郵送している。その記載は♂の記載と同時に発表された。なお、種名paradiseaについてStaudingerは、原記載の中で、「この華麗なチョウは極楽鳥の生息する島に分布し、細い尾状突起を持つことで互いに似ている。そのことだけでもparadiseaという名称以外には適当な名はない。」と述べ、Pagenstecherも「この珍奇なチョウの色彩と形は、ニューギニアの鳥界における華麗さの代表といえる極楽鳥に匹敵する」と述べている。
(特徴)Papuaの東側で比較的低地に産するが、個体数は少ない。
(斑紋)♂:この地区の標本の緑色斑は正常色より黄金色をしたものが多く、後翅の半透明黄金斑もわずかに大きいものが多い。腿節は黄白色。
♀:亜種borchiに似て、翅の地色は他の亜種より淡い。前翅斑紋はすべて揃い大きい。後翅の後角は突出していて、翅室斑は白色で、亜外縁は淡褐色。暗色翅室斑点はやや小さいものが多い。
(変異)♂-f. auriflua Fruhstorfer, 19034): (前翅の斑紋と色調変異)斑紋が縮小し、正常の緑色ではなく明るい黄金色をしているもの。
♂-f. jouberti Deslisle & Sclavo, 20152): (前・後翅の色調変異)斑紋が青色をしているもの。
♂-f. aurifluoides Haugum & Low, 19798): (前・後翅の色調変異)斑紋の色が黄金色から黄橙色までのもの。(➡borchi )
♀-f. caliginosa (Fruhstorfer, 1908)5): (前翅の斑紋変異)中室斑および翅室斑が消失するもの。
♀-f. auriflua Fruhstorfer, 19034): (前翅の斑紋変異) 中室基部に青色鱗が存在するもの。
♀-f. punctata (Hagen, 1897)6): (後翅の斑紋変異)中室端に小さい白斑が存在するもの。