1)アカエリトリバネアゲハ (Sp. brookiana (Wallace, 185519)))
Ssp. jikoi Kobayashi, 1986(バニャック諸島亜種)
Ssp. mariae Neukirchen, 1993(バツー諸島亜種)
Ssp. toshikii Kobayashi, 1991(メンタワイ諸島亜種)
Ssp. trogon (Snellen van Vollenhoven, 1860)(スマトラ島亜種)
Ssp. albescens (Rothschild, 1895)(マレー半島亜種)
Ssp. mollumar D’Abrera, Dogett & Parker, 1976(マレー半島南部亜種)
Ssp. cardinaali Haugum & Low, 1982(リンガ諸島亜種)
Ssp. natunensis (Rothschild, 1908)(北ナツナ諸島亜種)
Ssp. brookiana (Wallace, 1855)(名義タイプ亜種)
Ssp. haugumei Parrott, 1991(カリマンタン亜種)
Ssp.(?) ‘javaensis’ (tentative name) Ohya, 2022(チンジル島亜種?)
Malayのチョウとして親しまれてきた東南アジアの代表的な種である。1970年までは5亜種だけが知られていたが、1980年代にあらたに5亜種が発見され、現在10亜種を数える。亜種間で♂の斑紋は互いに酷似しているため、識別するのが困難なことが多いが、♀は前翅の白色条斑の大きさや拡がりに地域差が認められる。Malay半島では亜種 albescens の♂が集団で吸水行動をすることで有名であるが、他の亜種では見られない。
(分布)INDONESIA: Sumatra島, Banyak諸島, Batu 諸島, Mentawai諸島, Lingga 諸島, Kalimantan(=Borneo)島, Balabac島, 北Natuna諸島, Tinjil島 (Java); MALAYSIA: Malay半島。[分布概念図 16]
(垂直分布)海抜 0 – 1, 500 m。
(斑紋)♂:翅の地色は黒色で、外縁に沿って内縁から翅頂に向い次第に小さくなる7個の金緑色をした楔状の斑紋がある。後翅の基側には中室を越えて広がる同色の斑紋があり、内縁には発香襞と黒褐色の飾毛がある。裏面では前翅の径脈の前方基部と第1b室の肘脈に沿うコバルト色の2本の条斑があり、第2 – 6翅室に黄緑色のV字型の小斑がある。後翅の基部で第8脈の直下にはコバルト青色の帯があり、亜外縁には三角形をした白色の小斑紋列がある。
♀:斑紋形式は基本的には♂と変わらないが、翅の地色は淡く褐色を帯びる。前翅の緑色楔状斑は淡く黄色を帯びる。翅頂部には白色条斑がり、地域によりその大きさが異なる。後翅の亜外縁に白色の楔状小斑列がある。裏面は♂とほぼ同じ斑紋であるが、前翅の亜翅頂部から亜外縁にかけて白色楔状斑がある。
(食草)アカエリウマノスズクサ (Aristolochia foveolata ),ケールウマノスズクサ (A. kerri )8)。