1)サビモンキシタアゲハ (Sp. hypolitus (Cramer, 1775)1))
Ssp. cellularis Rothschild, 1895(スラウェシ島亜種)
= caelicola Haugum & Low, 1982(バンガイ諸島亜種)
f. loc. sangirensis Morisode, 2005(サンギール諸島地域変異)
Ssp. sulaensis (Staudinger, 1895)(スラ諸島亜種)
Ssp. antiopa Rothschild, 1908(北モルッカ諸島亜種)
Ssp. hypolitus (Cramer, 1775)(名義タイプ亜種)
この亜属にはサビモンキシタアゲハ(Troides (Ripponia) hypolitus )が一種類だけが属し、4亜種1地方型に分類される。しかし、黒化し黄色が広がるSula 諸島の亜種 (sulaensis )を除けば、他の亜種間の斑紋の違いは軽微で、このことは特に♂で顕著である。しかし、大きさには地域差が見られ、Maluku産の個体は大型で、Sulawesiや北Maluku産のものは概して小さい。また、同一地域でも乾期では雨期より小型になる傾向が見られる。
(分布)INDONESIA [Sulawesi-Maluku (=Molucca) 地区] Sulawesi島域 (Sulawesi島, Talaud諸島, Selayar島, Tukangbesi諸島), 北Maluku域 (Halmahera島, Sula 諸島), Maluku域 (Buru島, Seram島) [分布概念図 19]
(垂直分布)海抜 0 – 600 m。
(斑紋)♂:前翅の翅幅は広く、翅頂は尖って外縁は陥凹するため鎌状になる。後翅は翅頂が突出し、後角は尖り外縁が歯状の凹凸である。前翅は黒色で暗緑色の光沢があり、翅脈に沿って鱗粉が粗になるため半透明な翅脈条斑となる。後翅の第2室から亜前縁室までの亜外縁にある6個の半透明黄金斑を除けば黒灰色で、その部の裏面は銀灰色である。また、前翅裏面の翅脈条斑は表面より幅広く明瞭。腹部が本種特有の橙黄色に黒いまだら模様を形成する。胸部、側胸部には紅毛はない。
♀:翅の地色は♂より淡い黒色で、暗緑色の光沢はない。翅脈条斑は幅広く、中室の先端部ではM字状となる。後翅の翅室斑は大きく、亜前縁室と第6室を除けば翅室のほぼ全体を覆い、前縁側は黄色であるが内側に向うにつれ次第に白色となる。黒色翅室斑点は楕円形で大きい。裏面は前・後翅とも表面と変わらないが前翅では翅脈条斑が幅広く明るく、後翅では後翅の中室の先端に円形の淡い白色の斑点が出現する。頸部・側胸部に紅毛はない。腹部表面は灰白色で、側・裏面は黄色と黒色の斑模様。
(食草) ウミベノウマノスズクサ (Aristolochia gaudichaudii )8)。