4.亜種hypolitus (Cramer, 1775)1) [♂, ♀]
= panthous (Linnaeus, 1764) 7) [♀] (India (sic))
(分布)INDONESIA [Maluku] Buru島, Seram島 (Kamarian, Wahai, Manusela山脈, Yaputih), Ambon島, Haruku島, Saparua島。[分布図74]
(発見と原記載のエピソード)トリバネアゲハのうちではもっとも古くから知られている数少ない種類の一つで、そのため数多くの学名がつけられた。本種の最初の記載者はLinnaeus (1764)である。彼はPanthousとして2種類の♀を同一種の♂♀として誤って記載した。つまり、Hypolitusの♀をPanthousの♂としPriamusの♀をPanthousの♀としたのである。現在、正式に用いられているCramer (1775)のHypolitusの命名は、Seba (1765)の図に基づいて行われたと考えられる。なぜならSebaは、翅脈や斑紋をあまり正確に描写していないのに、Cramerの図もそれと同じ誤りがある。つまりCramerはSebaの図をそのまま複写したと思われるからである。また、その2年後Fabricius (1777)もそれをもとにRemusと命名している。なお、種名hypolitusは、TheseusとHippolyteとの間に生れたむすこHippolytosにちなむ(ギリシャ神話)。
(特徴) 亜種中最大である。他亜種との識別は下記の点で容易である。
(斑紋) ♂:後翅裏面の亜前縁室の翅頂部に白色条がはっきり存在する。
♀:後翅の第2, 3室斑は中室まで達しないが、黄色は第2室まで広がる。中室端には白色斑はない。