sulaensis（スラ諸島亜種）

2. 亜種sulaensis (Staudinger, 1895¹³⁾) [♂,♀]

= remus, (Wallace, 1865)¹⁴⁾ (nec Fabricius, 1777)) (Sulla Is. (sic.))

（分布）INDONESIA [Maluku] Sula諸島 (Taliabu島, Mangole島, Sanana島)。[分布図72]

（発見と原記載のエピソード）スラ諸島 (Sula) 産のT. hypolitusについて最初の報告はWallace (1865)である。彼の論文ではすべての亜種を一括して Ornithoptera Remusとしているが、スラ諸島産の♀に関しては「後翅の黄色が肛角に向かって大きく広がっている」と述べている。その後、Staudinger (1895)はPlaten博士によってマンゴレ島で採集された多数の標本を基に、両性とも前・後翅の黄色の広がりが顕著で、他の亜種とはかなり異なっていることからVar. Sulaensisとして記載した。

（特徴）本亜種は本種の分布上の中心部であるSula諸島だけに分布するにも拘わらず、他の亜種との橋渡し的特徴は見られない。少し黒化し、翅と腹部に黄色が広がる特異な亜種。

（斑紋）♂：前翅の地色は他亜種より濃く、表面では半透明翅脈条は弱く少し黄色を帯びる。後翅の亜外縁の黄色い斑紋は濃い黄色で、裏面では翅脈に沿って黄色が現れる。また、亜前縁室の翅頂部に白色条はない。腹部は上・下面も黄色。

♀：♂と同様に翅の地色は濃く、前翅の翅脈条は幅が狭くて短く、不明瞭で、中室から翅頂部にかけて幾分黄色を帯びる。後翅表面の翅室斑は内縁の一部を除きすべて黄色。裏面では表面の中室端には存在しない白色鱗による円形の斑紋が存在する。腹部は全体が黄色。

（変異）f. (♂, ♀) alboabdominalis (Haugum & Low, 1975)⁴⁾: (腹部の色調変異）本亜種では正常であるオレンジ色がクリーム色ないし灰色をしたもの。

f. (♂, ♀) flavoabdominalis (Haugum & Low, 1975)⁴⁾: (腹部の色調変異）正常のオレンジ色ではなく黄色をしたもの。正常なf. sulaensisとf. alboabdominalisとの中間。

♀- f. semimascula (Deslisle, 1991)²⁾: (特殊な個体変異）前翅が♂をした♀。