[2] キシタアゲハ亜属 (Subgenus Troides Hübner, 1819)20)
この亜属には前翅が黒く、後翅が黄金色または黄色をした中・小型のアゲハチョウが19種含まれる。種類が多いため分布も広範囲にわたり、西はIndiaから東南アジア、Sunda 列島を経てNew Guinea、東は中国の南西部、台湾からPhilippines、Sulawesiを経てMaluku (=Molucca) 諸島に至る。これらの種類を近似性に基づいて分類すると4グループ、すなわちAmphrysus種群(4種)、Haliphron種群(7種)、Helena種群(2種)およびAeacus種群(6種)になるが、これら4種群の共通する特徴は下記の通りである。
1. 両性間の斑紋はほぼ同じである。
2. 前翅の地色は♂では光沢がある黒色で性標はなく、♀は黒褐色から暗褐色。両性とも多少なりとも翅脈条斑がある。後翅は♂では大きな半透明黄金斑、♀では黄色斑に暗色翅室斑点斑があり、表裏ともほぼ同じである。
3. ♂の後翅の内縁は上反し、その中に褐色の発香物質を含む。
4. ♂の腹部は黄色、上面には性標がある。♀の腹部の上面は淡い黄褐色で、下面は黄色。