18) タイワンキシタアゲハ (Sp. aeacus (Felder, 1860)4))
Ssp. aeacus (Felder, 1860)(名義タイプ亜種)
= praecox (Fruhstorfer, 1913)(タイ亜種)
Ssp. szechwanus Okano & Okano, 1983(中国南部亜種)
Ssp. malaiianus Fruhstorfer, 1902(マレー半島亜種)
Ssp. formosanus Rothschild, 1899(台湾亜種)
= kaguya (Nakahara & Esaki, 1930)
*Ssp.(?) insularis (Ney, 1905)(スマトラ島亜種)
本種はPhilippines産の別種フィリピンキシタアゲハ (T. rhadamantus )に似ていて、かっては同一種として分類されたこともあった(Boisduval, 18362))。また♀はインドキシタアゲハ(T. minos )に酷似していて両者の近似性を物語っている。さて、大陸性である本種の分布域は別種ヘレナキシタアゲハ (T. helena ) に次いで広く、すべてのトリバネアゲハの北限と西北限にあたる。広域性であるにも関わらず地域変異は少なく安定した種であると言える。分布の連続性から少しはみ出したMalay半島や台湾、そして中国に分布するものには翅形や斑紋にいくらか変異が認められるため現在では4亜種に分類されている。なお、同種がSumatra島で発見され、Ney (1905)11)により亜種insularis として記載されたが、その後同地からの発見はなく疑問視されている。
(分布)Nepal, India北部, Bhutan, Bangladesh, 中国, Myanmar, Thailand, Laos, Cambodia, Vietnam, Malay半島, 台湾。 [分布概念図 37]
(垂直分布)海抜 300 – 3,000 m。
(斑紋) ♂:前翅の翅頂は尖り、外縁は陥凹する。後翅の後角は軽度に尖る。前翅は光沢がある黒色で、第2 – 9脈まで透けた幅広い翅脈条斑がある。後翅は半透明黄金で黒色山形斑は長く、第2脈から第4脈までは三日月状の黒色汚斑が被さるように存在する。裏面では前翅の翅脈条斑は灰白色で幅広く、短い翅脈条が第1b脈にも出現する。後翅では黒色汚斑はない。頸部・側胸部には紅毛がある。腹部は黒色で各腹節は黄色で縁取られる。
♀:前・後翅はやや丸味を帯びる。前翅の地色は淡黒褐色で、中室の基側の一部を残しほぼ内縁の全体を覆う中室斑とすべての翅脈に汚灰白色をした翅脈条がある。後翅は黄色で高い暗色山形斑で囲まれていて、涙形をした暗色翅室斑点が翅室の中央で孤立している。亜前縁室には2個の黄色い小斑がある。頸部・側胸部には紅毛がある。腹部の上面は暗褐色で下面は黒と黄色の縞模様を形成する。
(食草) コウシュンウマノスズクサ (Aristolochia kankauensis ), (北方種)タイワンウマノスズクサ (A. shimadai ), リュウキュウウマノスズクサ(A. liukiuensis ), ケスカートウマノスズクサ (A. cathcartii )9)。