4.亜種formosanus Rothschild, 189914)[♂][♀: (Jordan, 1909)8)]
=kaguya (Nakahara & Esaki, 1930)10)
(分布)台湾(TAIWAN):台北 (Taipei), 新竹 (Hsinchu), 台中 (Taichung), 田中 (Tienchung), 埔里 (Puli), 花蓮 (Hualien), 台南 (Tainan), 台東 (Taitung), 高尾 (Kaohsiung), 恒春 (Hengchun), 墾丁 (Kenting), 緑島 (Lutao)。[分布図154]
(発見と原記載のエピソード)最初の記載者はRothschild (1899)である。彼は台湾南端のターウー(Touche)のMonsieurより入手した2♂♂は前翅外縁の白色斑が小さいこと、後翅の黒色山形斑が長いこと、紅毛が腹部の基節にまで拡がること、さらに腹部下面の黒色斑点列が中央および西中国産と同じように2列であることを理由に亜種formosanusとして記載した。しかし、中原と江崎(1930)はこの亜種名が同属のPapilio castor formosanus Rothschild, 1896に先取りされているため異物同名であるとして、これを新亜種名kaguya (“竹取物語”のかぐや姫にちなむ)と改名した。
(特徴)名義タイプ亜種と亜種malaiianusとの中間の大きさ。主として台湾の南部に生息し、北部では極めて稀。
(斑紋)♂:前・後翅とも外縁の波状の凹凸が著しい。前翅の翅脈条は暗く不明瞭。後翅の黒色山形斑(特に第3、4室)が大きい。第1b室の黄金斑が小さい。
♀:翅の地色が名義タイプ亜種と亜種malaiianusとの中間色の黒褐色で、翅脈条は狭いが明瞭である。後翅の暗色翅室斑点が大きく、暗色山形斑も高いため黄色斑が小さくなり、その上、黒色汚斑が濃いため全体に黒っぽく見える。
(変異) ♂-f. kuroboshi (Nomura, 1937)12): (後翅の斑紋変異)第2室に黒色翅室斑点が存在するもの。
♂-f. maeboshi (Hirayama, 1941)7): (後翅の斑紋変異)亜前縁室に黒色翅室斑点が存在するもの。