rhadamantus(フィリピンキシタアゲハ)

16) フィリピンキシタアゲハ (Sp. rhadamantus (Lucas, 1835)7))

Ssp. rhadamantus (Lucas, 1835)(名義タイプ亜種)

= hesiodus (Fruhstorfer, 1911)(ミンドロ島亜種)

= belzanor (Fruhstorfer, 1911)(スル諸島亜種)

Ssp. plateni (Staudinger, 1888)(パラワン島亜種)

Philippinesに分布する中型の特産種である。大陸性の別種で台湾にも生息するタイワンキシタアゲハ (T. aeacus ) の代置種として古くから知られている。Philippines全土に分布するため北部産と南部産との間には多少の地域変異が見られ、特に前翅の翅脈条斑は北部産より南部産が明るく、逆に後翅の黒色汚斑は北部産より南部産が濃くなる傾向が見られるが、亜種に分けるほどの違いではない。しかし、Palawan 島に生息するものはこれらとはかなり異なるため、別種として分類されることがあるが、それらの相違は種にするほどではないと考え、ここでは亜種として取り扱った。

(分布)Philippines全土, Palawan島。[分布概念図 35]

(垂直分布)海抜 0 – 1, 300 m。

(斑紋)♂:翅形の特徴は後翅の後角が著しく尖るが、Palawan島産は前・後翅とも丸味を帯びる。前翅は光沢がある黒色で、第2脈から第9脈まで灰白色の翅脈条斑があるが、Palawan島産は亜外縁にわずかに存在するだけである。後翅の半透明黄金斑はすべての翅室を覆い、第2- 5、6室には黒色汚斑がある。一方、Palawan島産の黄金斑は小さく亜前縁室から第6室ないし第5室までのものが多い。裏面はあまり変わらないが、Palawan島産では後翅の後角部が黒色鱗で濃く覆われる傾向があり個体差が著しい。頸部・側胸部には紅毛があり腹部上部は黒色、下面は黄色である。

♀:本種特有の斑紋をしている。翅の地色は黒ないし黒褐色で、M字状の中室端斑および第2 – 9脈に沿う灰白色の翅脈条があるが、第2脈のものは短い。後翅の黄色斑は翅のほぼ半分を占めるが、Palawan島産はそれよりはるかに小さくその上、亜外縁の黄色斑点はない。頸部・側胸部には紅毛がある。腹部上面は黒褐色、下面は黄色。

(食草)タガラウマノスズクサ (Aristolochia tagala )、フィリッピンウマノスズクサ (A. zollingeriana )、ジャックウマノスズクサ(A. jackii )8)

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