1)アンフリサスキシタアゲハ (Sp. amphrysus (Cramer, 1779)3))
Ssp. simeuluensis Ohya, 1985(シムルー島亜種)
Ssp. astrea Hayami, 1992(バニャック諸島亜種)
Ssp. niasicus (Fruhstorfer, 1897)(ニアス島亜種)
Ssp. vistara (Fruhstorfer, 1906)(バツー諸島亜種)
= merah Kobayashi & Hayami, 1992(シムク島亜種)
= zeus Kobayashi & Hayami, 1992(メンタワイ諸島亜種)
Ssp. euthydemus (Fruhstorfer, 1913)(スマトラ島亜種)
= centralis Deslisle, 1993(デンポー山亜種)
Ssp. ruficollis (Butler, 1877)(マレー半島亜種)
Ssp. naokoae Morita, 1996(ランカウィ島亜種)
Ssp. arkumene Hayami, 1994(チオマン島・アウル島亜種)
Ssp. amphrysus (Cramer, 1779)(名義タイプ亜種)
= joanae Parrott, 1989 (バリ島亜種)
*Ssp. kuris Kobayashi & Hayami, 1987(アナンバス島亜種)
Ssp. perintis Kobayashi, 1986(タンベラン諸島亜種)
Ssp. chrysomelas Parrott & Schmid, 1984(北・南ナツナ諸島亜種)
Ssp. actinotia (Jordan, 1909)(ボルネオ島南部亜種)
Ssp. hilbert Hayami, 1992(カリマタ島亜種)
*Ssp. kecilensis Schäffler, 1999(ラウトケチル島亜種)
Ssp. flavicollis (Druce, 1873)(ボルネオ島北部亜種)
= kottovae Dufek, Rumbucher & Schäffler, 2006(バンギ島亜種)
本種はAmphrysus種群では最も分布域が広く、現在16亜種を数える。次種クサビモンキシタアゲハ (T. cuneifera ) の近似種であるが、クサビモンキシタアゲハが高地に生息するのに反し、Kalimantan(=Borneo)島を除き一般に低地に生息する。
(分布)大Sunda列島 (Sumatra島, Malay半島, Kalimantan (=Borneo)島, Java島およびその近隣の島々)。[分布概念図 20]
(垂直分布)海抜 0 – 1, 400 m。
(斑紋)♂:前翅は光沢がある黒色で、中室の先端から亜翅頂部にかけ黄色または灰色の条斑と短い同色の亜外縁斑がある。Kalimantan(=Borneo)系の亜種(kuris, perintis, chrysomelas, actinotia, hilbert, kecilensisおよびflavicollis)では、翅脈条は外側に向って黄色から灰色に変化する。後翅は丸みを帯び、全体が明るい半透明黄金斑で、狭い黒色外縁帯で縁取られ、各室の外縁には丸みを帯びた黒色山形斑があるが、Sumatra系の島嶼産亜種(simeuluensis, astrea, niasicus, vistara)では大きく, Kalimantan (=Borneo)系の幾つかの亜種(flavicollis, actinotia, hibert, kecilensis) では小さい。裏面は表面とあまり変わらないが、光沢がなく翅脈条は淡い。頸部にはKalimantan (=Borneo) 島の北部産を除き紅毛があるが、Kalimantan島では黒色、褐色、黄色などの個体変異が見られる。側胸部の紅毛は欠如するか少ない。腹部は明るい黄色で、上面中央にクリーム色の性標がある。
♀:♂の翅形に似るが、丸みを帯びる。前翅の地色は黒褐色か褐色で、♂と同型の灰白色または灰黄色の翅条斑がある。後翅は黒色翅室斑点が大きく、互いに融合し帯状になり内外に伸びるため黄色の部分は縮小する。頸部には紅毛があるが、Kalimantan(=Borneo) 島では♂同様の変化が見られる。胸部には紅毛はないか少ない。腹部上面は灰褐色または黄褐色、下面は黄色。
(食草)ケールウマノスズクサ(Aristolochia kerri )、ジャックウマノスズクサ(A. jackii )28)。