1.亜種andromache (Staudinger, 1892)7) [♂,♀]
= marapokensis Fruhstorfer, 18982) [♂, ♀] (Sarawak (Mt. Marapok))
(分布)E. MALAYSIA (Kalimantan=Borneo)[Sabah] Kinabalu山, Kundasang, Poring, Mamut Mine, Ranau, Kimanis, Trus Madi山, Crocker山脈 (Keningau, Tenom), Sipitang, Tawau Hills国立公園, Tawau; [Sarawak] Merapok, 北部地域; BRUNEI:高地(?); INDONESIA [N. Kalimantan] Lumbis. [分布図94]
(発見と原記載のエピソード)andromacheもmarapokensisもともにWaterstradtにより発見された。前者はキナバル山で1♂、5♀♀(♂と2♀♀は新鮮な個体)が採集され、Staudinger (1892)により新種として発表された。その後、彼(1895)は新たに採集された標本に♂♀の図版をつけて再報告している。一方、marapokensisはマラボック山(サラワク北部)でかなり多数の個体が採集され、Fruhstorfer (1898b)により♂の前翅裏面の中室先端部に小斑がないことと、♀の前翅の地色が褐色で、中室下方から外方へ大きく明瞭な帯があることを根拠に、新亜種として記載された。なお、種名andromacheはEetion王の娘で、Hectorの有名な妻の名に由来する(ギリシャ神話)。
(特徴)最も北に分布する亜種。♀の前翅は灰白色であるが、南に産するものほど褐色の陰りが増す傾向が見られる(marapokensis)。
(斑紋)♂:亜種nishikawaiより少し小型で、後翅の黒色山形斑が少し小さい。
♀:前翅の地色は北のKinabalu山付近では灰白色であるが、南のMerapokあたりではかなり濃い褐色になる。後翅の斑紋に変化は見られない。
(変異)♂-f. pseudomiranda Haugum & Low, 19833): (前翅の斑紋変異)表面の亜外縁部に、ミランダキシタアゲハのように黄白色の翅脈条斑が存在するもの。
♂-f. pseudotrogonoptera Deslisle, 20041): (前翅の斑紋変異): アカエリトリバネアゲハ属特有の楔状斑状に散在した金属緑色鱗が前翅表面に存在するもの。
♀-f. andromache (Staudinger, 1892)7): (前翅の色調変異) 最も北に分布する個体群で、地色が白く斑紋の褐色は非常に淡い白色型のもの。
♀-f. marapokensis Fruhstorfer, 18982): (前翅の色調変異) 分布が南に下るほど翅の地色は濃くなるが、この変異はタイプ名義亜種と亜種nishikawai f. loc. goramensis との中間型である。