2)クサビモンキシタアゲハ (Sp. cuneifera (Oberthür, 1879)6))
Ssp. sumatrana (Hagen, 1894)(スマトラ島亜種)
Ssp. paeninsulae (Pendlebury, 1936)(マレー半島亜種)
Ssp. cuneifera (Oberthür, 1879)(名義タイプ亜種)
本種はアンフリサスキシタアゲハ (T. amphrysus ) に酷似し、Kalimantan (=Borneo) 島を除けば生息地もほぼ同じ地域に生息するが、本種は高地 (400mから2,000m) に生息するため、低地に生息する前亜種とは垂直分布が異なる。3亜種が知られている。
(分布)大Sunda列島(Sumatra島, Malay半島およびJava島)。[分布概念図 21]
(垂直分布)海抜 400 – 2, 000 m。
(斑紋)♂:前翅は光沢がある黒色または暗黒褐色で、アンフリサスキシタアゲハと同じような黄灰色の翅脈条があるが翅頂は尖り、外縁が陥凹する特異な翅形をしている。後翅も同じような黄金斑であるが、亜外縁以外は少し緑色を帯びること、翅脈の黒い縁取りが太いこと、翅室の黒色楔状斑が亜種paeninsulaeを除き存在すること、外縁の凹凸が尖ることなどの違いが見られ、容易に識別することができる。頸部は暗紅色で、胸部の紅毛は亜種paeninsulaeを除けば少ないかまたは欠如する。
♀:アンフリサスキシタアゲハに非常によく似ていて両者の識別は困難であるが、前翅の翅脈条の形が中室端とその周辺だけが幅広く亜翅頂部に向って急速に細くなること、また後翅では、暗色外縁帯の幅が狭く暗色翅室斑点が小さく中室へ向かって伸びない(特に第2、3室)ことなどで識別は可能である。
(食草)アカエリウマノスズクサ (Aristolochia foveolata )、コアドナータウマノスズクサ (A. coadunata)5)。