5)セイロンキシタアゲハ (Sp. darsius (Gray, 1853)3)) [♂, ♀]
(分布)SRI LANKA (=Ceylon)[NP] Puliyankulam, [CP] Sigiriya, Kandy, Nuwara Eliya, Hakgala, [NWP] Kurunegala, [Uva P] Bibile, Kataragama Peak, [EP] Lahugala Kitulana国立公園, [WP] Colombo, Labugama, Ingiriya, [Sabaragamuwa P] Belihul Oya, [SP] Sinharaja Forest Reserve, Deniyaya, Telijjawila, Matara。[分布概念図 24], [分布図96]
(垂直分布)海抜 0 – 2,000 m。
(発見と原記載のエピソード)最初の記載者は、1♂をもとに記載したDoubleday (1846)であるが、彼はセレベス(Celebes)産のヘリブトキシタアゲハ(amphimedon = haliphron)と同一種であると考えた。その後セイロン島の♂♀に基づきGray (1853)はPapilioの新種として再記載した。
(特徴)Sri Lanka特産種。中部以南に生息地が多い。(北部や標高1,000m以上では少なくなる。)Haliphron種群は大Sunda列島―小Sunda 列島―北Malukuに分布しているのに、本種だけは飛び離れたインド洋に浮かぶ島に分布している。これは非常に興味ある問題である。
(斑紋)♂:後翅の黄金斑の大きさに個体差があるのが特徴である。前翅は黒色に深暗緑色の光沢がある。後翅は各翅室に中室まで達する半透明黄金斑があるが、黒色外縁帯が幅広いため狭くなる。個体によっては中室端斑を欠如するものや、黄金斑に黒色小斑点が出現する。頸部と側胸部には紅毛がある。腹部の上面は黒褐色で腹節は黄色で縁取られる。下面は黄色。
♀:個体変異は殆んどない。前翅は暗褐色で深緑色を帯びた光沢がある。灰白色の翅脈条斑が中室先端から亜翅頂部、亜外縁部そして内縁部まで広がる。後翅の地色は黒褐色で、翅底から中室先端直前までしか広がらないため、小さい中室先端斑が残る。黒色翅室斑点は翅室のほぼ半分程度で互いに融合し帯を形成する。黄色い翅室斑はそれほど大きくなく、第1b室斑の外側は白色。頸部と側胸部に紅毛がある。腹部表面は濃褐色で、下面は黄色。
(変異)♂-f. isis (Ehrmann, 1925)2): (後翅の斑紋変異)翅室斑が拡大し、中室のほぼ半分を占めるもの。黒色外縁帯は狭い。
♂-f. cambyses (Ehrmann, 1904)1): (後翅の斑紋変異)各黄金翅室斑は正常より淡い黄色で、各翅室の亜外縁に直径約4mmの黒色の卵円形の翅室斑点が存在するもの。
♂-f. clementinae Sala, 19926): (後翅の斑紋変異)後翅の黄金翅室斑が短く中室まで届かず、中室斑が存在しないもの。
♀-f. melanie Rumbucher & Schäffler, 20045): (後翅の斑紋変異)翅室斑が縮小し、中室斑が欠如するもの。(➡staudingeri iris )
♀-f. donae Sala, 19926): (後翅の斑紋変異)後翅の暗色翅室斑点が縮小、特に第4、5室では孤立するため、黄色斑が拡大するもの。
(食草)タガラウマノスズクサ (Aristolochia tagala )、インドウマノスズクサ (A. indica )4)。