6) バンデポールキシタアゲハ (Sp. vandepolli (Snellen, 1890)5))
Ssp. honrathiana (Martin, 1892)(スマトラ島亜種)
Ssp. parrottei Deslisle, 1989(デンポー山亜種)
Ssp. vandepolli (Snellen, 1890)(名義タイプ亜種)
Haliphron種群では唯一高地性の美しい大型の種で、生息地が限られている上、発生個体数も少ない。これまで生息していないと考えられていたSumatra島の南部の高地であるDempo山から新亜種が発見(Deslisle, 1989)1)され、現在では3亜種が知られている。
(分布)大Sunda列島(Sumatra島とJava島の高地)。[分布概念図 25]
(垂直分布)海抜 1, 000 – 1, 800 m。
(斑紋)♂:前翅の後角がほぼ直角で、後翅は丸味を帯びる特有な翅形をしている。前翅は光沢がある黒色で、翅脈条は半透明で灰白色をしていて裏面では明瞭であるが表面では不明瞭。後翅の半透明黄金斑は中室内側半分と第1 – 2室を覆う黒色部および幅広い黒色山形外縁斑で囲まれる。頸部は暗紅色、側胸部の紅毛は寡少。腹部は黒い体毛に濃く覆われる。
♀:斑紋は前述のセイロンキシタアゲハ(T. darsius )に似る。前翅は暗褐色または濃褐色で、中室先端から亜翅頂部、亜外縁に広がる灰白色の翅脈条がある(第1b- 2脈では中室に届かない)。後翅の黄色斑は基部の黒褐色によって翅の長軸に対して直角に切れ、黒色翅室斑点は名義タイプ亜種では孤立するが、Sumatra島産の亜種は 互いに融合して数珠状になる。第1b – 2室の外側は白色。頸部、側胸部は♂と同じ。
(食草)アカエリウマノスズクサ (Aristolochia foveolata )、コアドナータウマノスズクサ (A. coadunata)4)。