bunguranensis（北ナツナ諸島亜種）

19. 亜種bunguranensis Ohya, 1982²³⁾ [♂,♀]

（分布）INDONESIA [Riau Is.] 北Natuna諸島（Natuna Besar(=Bunguran)島）。[分布図132]

（発見と原記載のエピソード）ナトゥナ諸島産の最初の記載者はRothschild (1895)であるが、彼は1♂1♀の標本を検討し亜種cerberusと同一亜種とした。Jordan (1908)も同一意見であったが、その後の報告例はみられない。D’Abrera (1975)は新亜種の可能性もあり得ることを暗示しながらもmoschylus(sic)に含めて分類している。大屋 (1982)はインドネシアの採集人による♂(1981年5月10日)と1♀(1981年5月19日)、1981年8月2日から30日の間に採集された10♂♂、9♀♀をもとに、雑誌「ちょうちょう」5巻(6月号)(1982)に新亜種として記載した。

（特徴）南Natuna諸島の亜種venusやKarimata島の亜種sugimotoi に似るが、斑紋や大きさは安定していて、両亜種より大きい。第７腹節が乳白色という特徴から他亜種との識別は容易である。

（斑紋）♂：前翅表面は光沢がある黒色で、裏面は亜種venusや亜種sugimotoiでは見られない中室に達する狭い翅脈条がある。後翅の亜前縁室の半透明黄金斑は亜種venusと同じく外に向って広がる。黒色外縁帯は３亜種とも幅広い。腹部上面は他の亜種より淡く、第７腹節は完全に乳白色である。

♀：中間型：前翅の地色は暗褐色で翅脈条は両面とも暗い。後翅の亜前縁室には暗色翅室斑点を内包する小さい三角形をした黄色斑があるが、亜種venus や亜種sugimotoi では欠如する。暗色外縁帯は幅広いが、暗色翅室斑点は小さく、完全に孤立し、やや内側に偏在する。腹部は淡く第７腹節は乳白色。