12. 亜種helena (Linnaeus, 1758)19) [♂][♀: pompeus (Cramer, 1775)1)](♀:2型)
= pompeus (Cramer, 1775)1) [♀] (Java)
= astenous (Fabricius, 1775)6) [♀] (Capte Bonae Spei (sic ))
= heliacon (Fabricius, 1793)7) [♂] (E. India (sic ))
= mannus Fruhstorfer, 190811) [♂,♀] (Bali島)
(分布)INDONESIA (Sumatra)[Lampung] Krui, Rajabasa山, Sebesi島, Krakatau (=Rakata)島, (Java)[W. Java] Sangiang島, Tinjil島, Salak山, Bogor, Mt. Gede-Pangrango 国立公園 (Mas山, Cibodas, Pangrango山, Gede山), Sukabumi, Garut, [C. Java] Slamet山, Dieng Plateau, Genuk, Muria山, [Yogyakarta] Yogyakarta, [E. Java] Popoh, Surabaya, Arjuna山, Lawang, Malang, Bromo山, Madura島, Ijen-Merapi-Maelang Reserve, Banyuwangi, [Bali] Bali島。 [分布図125, 126]
(発見と原記載のエピソード)本亜種が最初に記載されたのは1719年、Merianによって図示された♂で、この図はLinnaeus (1758)の原記載のもとになった。♀に関する最初の記載は、Fabricius (1775)がBanksのコレクションにあった標本に基づいてastenous、同年Cramerはpompeusと命名している。その後、Fabricius (1793)はやはりBanksの♂の標本をもとにheliaconと命名した。これら同一異名を統一したのはRothschild (1895)である。なお、種名helenaはJupiter大神とLedaとの娘で、スパルタ(Sparta)の王Menelausの妻Helenaにちなむ。
(特徴)トリバネアゲハだけではなく、チョウの中で最も早くから知られた種である。Java島だけではなく、Sumatra島の南部にも生息しているので亜種typhaonとの棲み分けに興味がある。本亜種は小型で、翅幅が広く丸みを帯びる。両性とも斑紋の変化に富む。
(斑紋)♂:多くの個体は前翅に翅脈条がないが、個体によっては僅かながら出現する。後翅の半透明黄金斑の広がりには個体差があるが、概して言えば亜前縁室には出現しないか小斑のものが多い。黒色翅室斑点が出現する個体も多いが、その数や大きさには個体差がある。
♀:2型がある。後翅の亜前縁室の斑紋は欠如または小斑。時には第6室の一部も欠如する。暗色翅室斑点は個体差があるが概して小さく孤立する。
1.暗色型(♀-f. penetia (Jordan, 1908)18)):前翅の翅脈条がないもの。
2.明色型(♀-f. pompeus (Cramer, 1775)1)):前翅の翅脈条が存在するもの。
(変異) ♂-f. albovittata (Roepke, 1935)28)(=alboradians (Rousseau-Decelle, 1946)31)): (前翅の斑紋変異) 白色翅脈条が明瞭に存在するもの。
♂-f. neocarolus Haugum & Low, 198514): (前翅の斑紋変異)表面では白色翅脈条が亜翅頂部から亜外縁部に存在するものと欠如するものがあるが、裏面では明瞭に灰白色の翅脈条斑が亜外縁部に現れるもの。(注:T. oblongomaculatus papuensis f. carolus )
♂-f. jupiter (Oberthür, 1879)22): (後翅の斑紋変異)黒色翅室斑点がないもの。
♂-f. helena (Linnaeus, 1758)19): (後翅の斑紋変異)第2、6室に黒色翅室斑点があるもの。
♂-f. punctata (Dufrane, 1946)5): (後翅の斑紋変異)亜前縁室の黄金斑を欠如し、第6室に大きな、そして第3室に微細な黒色翅室斑点がある。
♂-f. intermedia (Dufrane, 1946)5): (後翅の斑紋変異)第3、4室に小さな黒色翅室斑点が存在するもの。
♂-f. seriepunctata (Roepke, 1935)28): (後翅の斑紋変異)全ての翅室にほぼ同じ大きさの黒色翅室斑点が存在するもの。
♂-f. noirae Rumbucher & Schäffler, 200532): (後翅の斑紋変異)黄金斑は縮小し、亜前縁室、第6室は全体が、中室と第1翅室はほぼ黒化する。
♂-f. rutilans (Oberthür, 1879)22): (後翅の色調変異)斑紋の色が赤黄褐色のもの。
♂-f. holzi (Pagenstecher,1890)25): (後翅の色調変異)斑紋は赤色または赤褐色。
♂-f. quadriga Rumbucher & Schäffler, 200532): (後翅の色調変異)4色(黒、白、黄色および赤色)が存在する。
♀-f. hycetus (Rippon, 1906)27) (=albicans (Roepke, 1935)28)): (前翅の斑紋変異) 白い翅脈条が非常に発達する明色型の極型。
♀-f. pseudodarsius Rumbucher & Schäffler, 200532): (前翅の斑紋変異) セイロンキシタアゲハ (T. darsius) に似て、中室端1/3 はほぼ完全に白斑で覆われるが、翅脈条はf. hycetusほど発達しない。
♀-f. jupiter (Oberthür, 1879)22):(後翅の斑紋変異)暗色翅室斑点を欠如するもの。
♀-f. fuliginosa (Rousseau-Decelle, 1946)31):(前・後翅の色調変異)全ての斑紋の色が表裏とも赤褐色のもの。
♀-f. brutus Rumbucher & Schäffler, 200532): (前翅の色調変異)翅脈条が褐色をしたもの。
♀-f. rutilans (Oberthür, 1879)22): (後翅の色調変異) 翅室斑が赤黄褐色のもの。
♀-f. pluto (Felder, 1865)8): (後翅の色調変異) 翅室斑は前縁側に向って銅赤黄色となるもの。