23. 亜種mosychlus (Fruhstorfer, 1913)12) [♂, ♀]
(分布)E. MALAYSIA (Kalimantan=Borneo) [Sabah] Banggi島, Kinabalu山, Poring, Ranau, Crocker山脈 (Keningau), Labuk 川流域, Sandakan, Sebatik 島; BRUNEI。[分布図136]
(発見と原記載のエピソード)ボルネオ産に関する記載はRothschild (1895)やJordan (1908)にみられるが、いずれも亜種cerberusと同一亜種としている。これを新亜種として最初に記載したのはFruhstorfer (1913)である。彼はWaterstradtが1890年北ボルネオのブルネイ(Brunei)王国の平地で採集した1♂と、自ら採集した1♂、3♀♀をもとに記載したものであるが、その論文中に「マレー半島産(cerberus)の標本はスマトラ産(typhaon)よりもボルネオ産(mosychlus)に近いが、マレー半島産 (cerberus)はmosychlus特有の黄色を帯びない。」と述べている。
(特徴)Kalimantan (=Borneo) 島系の上記4亜種は前・後翅の翅頂が尖り、角張った翅形が多いのに対し小型で翅頂が丸みを帯びる。斑紋は安定していて変異が少ない。他亜種との識別は容易である。
(斑紋)♂:前翅表面でも淡い翅条斑が亜外縁に沿って現れる。後翅の亜外縁室の半透明黄金斑は幅広い。黒色外縁帯は狭く黒色山形斑も小さい。
♀:中間型:前翅は濃褐色。翅脈条は黄土色を帯びた灰白色で、すべての翅脈に存在するが幾分不明瞭で、第1b – 2脈ないし3脈は中室に達しない。中室端斑はM字を描く。後翅の亜前縁室には第7脈に沿って中室側に小斑が存在するかまたは欠如する。暗色翅室斑点は小さく孤立し、暗色山形斑とは第2-4室で接触する程度である。