nereis（エンガノ島亜種）

11. 亜種nereis (Doherty, 1891)⁴⁾ [♂, ♀]

（分布）INDONESIA [Bengkulu] Engano (=Enggano )島。    [分布図124]

（発見と原記載のエピソード）Dohertyが自ら採集した標本をもとに書いた「エンガノ島のチョウのリスト、Danaidaeにおける二、三の観察について」と題する論文(1891)に記載した。表題はOrnithopteraの新種となっているが、記載文の書き出しはOrn. pompeius Cramerの一地方型となっている。論文の終りに「数個体の♂と2個体の♀を採集したが、不幸にも2個体のうち1♀は破損し、残り1♀も飛び古したものであった。」と付記している。その学名を海の妖精の一人Neresになぞらえたのも、南海の孤島で出会ったこの美しいチョウこそこの名にふさわしいと思ったからなのかも知れない。

（特徴）Sumatra島の西部にある近隣の島々の最南端に分布する亜種で、他のSumatra島系の亜種とはかなり異なっていて、両性とも翅脈条がよく発達しているので識別は容易である。

（斑紋）♂: 前翅の光沢ある黒色の地色に、第2 – 6脈に沿って淡い灰色の翅脈条があり、裏面ではより明瞭である。後翅の亜前縁室の半透明黄金斑は幅が狭く第８脈に達しない。黒色翅室斑点が出現する個体が多い。

♀：明色型：前翅には中室先端1/3にある灰白色をした中室端斑とすべての翅脈に沿う幅広い翅脈条が広がる（第1b脈の条斑だけは中室に届かない）。後翅の黄色斑は淡黄色で前縁側と内縁は汚白色。裏面は僅かに黄土色を帯びた汚白色。暗色翅室斑点は大きく互いに接触し、黒色外縁山形斑とは融合する。