4.亜種bandensis Pagenstecher, 190424) [♂, ♀](♀:2型)
(分布)INDONESIA [Maluku] Banda諸島(Banda島)。[分布図141]
(発見と原記載のエピソード)バンダ諸島産に関する最初の記載はRothschild (1895)である。彼はDohertyが採集した1♂をもとに、バンダ諸島産は原名亜種と何ら変りはないと述べている。その後、Fruhstorfer (1904)はゴラム(Goram)諸島産の別亜種hannoの原記載の中で、疑問を残しながらも亜種hannoと同一亜種にした。同年、Pagenstecherは彼が所蔵していた数対(個体数は不明)の標本をもとに、いくつかの特徴を列記し独立した亜種として正式にbandensisの名のもとに発表した。また、現在まで数多くの研究者や愛好家が原記載と誤って引用してきたRothschild (1908)の論文は、その4年後に発表されたものである。なお、亜種名bandensisは生息地Banda諸島にちなむ。
(特徴)分布地はSeram島から約100 Km南にあるBanda海に浮かぶ諸島。孤島であるため調査研究は不十分で、標本も少なく情報も乏しい。本亜種は亜種papuensis同様に小型である。
(斑紋)♂:後翅の半透明黄金斑、特に亜前縁室の斑紋の大きさや形は変化に富み、個体差が見られる。しかし本種特有の第5室の第6脈に沿って指状に伸びる部分は見られないのが特徴。
♀:2型が知られているが、その移行型も知られている。
1.暗色型(♀-f. selene Ohya, 198222)): 前翅の翅脈条が不明瞭なもの。後翅の斑紋は亜種bouruensisと同様に黄色で、裏面では表面より明るい黄色である。
2.明色型(♀-f. bandensis Pagenstecher, 190424)): 前翅の翅脈条が明瞭で、中室先端がM字状になる。後翅の黄色斑は表面ではクリーム黄色であるが、裏面では乳白色である。