2.亜種bouruensis (Wallace, 1865)34) [♂, ♀](♀:2型)
= hellen (Boisduval, 1832)1) [♂] (➡papuensis ) (Ambon島, Buru島, Rawack島)
= mangolensis Tsukada & Nishiyama, 198033) [♂, ♀] (Sula諸島 (Mangole島))
(分布)INDONESIA [Maluku] Buru島(Leksula, Fakal, Waetawa, Kayeli ), Ambelau島。[分布図 139]
(発見と原記載のエピソード)ブル島産はBoisduval (1832)によりヘレナキシタアゲハとしてはじめて報告されたが、種名helenaは先取権の問題で無効である(Linnaeusがジャワ産の別種に対し1758年に命名している)。その後、Wallace (1865)は自ら採集した1♂2♀♀をもとにヘレナキシタアゲハの地方型として命名記載した。亜種bouruensisは生息地Bouru (= Buru)島に由来する。
(特徴)名義タイプ亜種に次いで大型の亜種。♂の後翅の黄金斑の大きさや形の個体変化は著しく、多くの変異が見られる。
(斑紋)♂:暗色型のみ。後翅の半透明黄金斑の形や大きさには個体差があり変化に富む。名義タイプ亜種との違いは中室斑、前縁室斑および第1b室斑がいずれも小さいことである。
♀:2型が存在する。後翅も斑紋の色は名義タイプ亜種のように灰黄色ないし乳白色ではなく、濃い黄色で、黒色翅室斑点は孤立するか接触する程度の大きさであるが、暗色外縁帯とは融合する(第2-4室)。
1. 暗色型(♀-f. bouruensis (Wallace, 1865)34)(=capnodia (Jordan, 1908)16)):前翅に翅脈条がなく暗褐色のもの。
2. 明色型(♀-f. argidia (Jordan, 1908)16)):前翅に灰白色の翅脈条があるもの。
(変異) ♂-f. ohzui Kobayashi & Koiwaya, 197917): (後翅の斑紋変異) 翅室斑は全体に縮小し、とくに中室は先端に小斑点を残す黒化型。
♂-f. reducta Rumbucher & Schäffler, 200529): (後翅の斑紋変異) 上記ohzuiよりは軽度の黒化型。中室斑が残り、亜前縁室斑も小斑ながら明瞭である。
♀-f. ohzui Kobayashi & Koiwaya, 197917): (後翅の斑紋変異) 亜外縁の淡黄色の小斑列を除けば翅室斑を欠如するもの。黒化型。
♀-f. nagai Ohya, 198323): (後翅の斑紋変異)後翅の暗色翅室斑点が第6室のものを除きすべて消失するもの。