1.亜種thestius (Staudinger, 1896)32) [♂, ♀](♂:2型、♀:2型)
= leda, (Staudinger, 1891)31) (nec Wallace, 186534)) [♂, ♀] (Salajar (=Selayar)島)
= celebensis, Rothschild, 189526) (nec Wallace, 186534)) [♂, ♀] (Macassar, Seleyar島)
= minahassae Franz, 1952 8) [♂] (Celebes (=Sulawesi) (Minahassa))
(分布)INDONESIA [S. Sulawesi] Selayar(=Kabia)島, Tanahjampea島, [S.-E. Sulawesi] Muna島, Buton 島, Tukangbesi諸島 (Wangiwangi 島, Tomea島, Binongko島), Batuata島。[分布図 138]
(発見と原記載のエピソード)最初の記載は、Boisduval (1832)がamphimedon (= oblongomaculatus)として報告した1♀である。その後Staudinger (1891)は、サラヤル島でKühnが採集した5♂♂4♀♀に基づきヘレナキシタアゲハの小地域の地方変異Ledaとして記載したが、1896年、D. E. Z. Iris 8巻、1895年版(実際に発行されたのは1896年1月)に、Ledaという名称は自分より先にWallace (1865)がすでにセレベスのトリバネアゲハの亜種に用いていて、しかもそれより1年前それに対しFelder (1864)がhephaestusと命名していたということを見落していたと述べ、Ledaを改めてThestius (Ledaの父の名前)にしたいという論文を出した。なお、ThestiusはギリシャのAetoliaのPleuronの王の名で、Helenaの母であるLeda(スパルタの王Tyndareosの妃)の父にあたる(ギリシャ神話)。
(特徴)両性とも暗色型と明色型とが存在する。Sulawesi島産の代置種helena hephaestusに酷似して、他の亜種より前・後翅の翅頂が尖る。また、♂の後翅の黄金斑の大きさや形には多様な個体変異が見られる。
(斑紋) ♂:前翅の翅脈条により次の2型に分けれれる。
- 暗色型(no name): 一様に光沢のある黒色で、翅脈条はない。
- 明色型(♂-f. thestius (Staudinger, 1896)32))(=bernhardus Fruhstorfer, 189810)): 両面に翅脈条が明瞭に存在する明色型(多くの個体がこの型に相当する)。後翅の半透明黄金斑の個体差は顕著で、黒色鱗の縁取りが狭いために黄金斑が大きい個体から、縁取りが幅広いために黄金斑が小さい個体など多様である。総じて黒色外縁帯は第2- 5室では幅広い。
♀:後翅では黄色の中室斑が半分程度を占めるが、第1b – 6室の黄色斑は翅室の半分以下で、全体としては小さい。暗色翅室斑点と暗色外縁帯は互いに密に融合する。
- 暗色型(♀-f. aetolis Ohya, 198323)): 前翅に翅脈条がない暗色型。稀。
- 明色型 (♀-f. thestius (Staudinger, 1896)32) (=leda Staudinger, 189131)) (nec Wallace,186534))): 前翅が両面に灰白色の翅脈条が明瞭に存在するもの。