I. トリバネアゲハ属(Genus Ornithoptera Boisduval, 1832)1)
模式種 : Papilio Eques Trojanus priamus Linnaeus, 1758
(=Ornithoptera (Ornithoptera) priamus Linnaeus, 1758)
トリバネアゲハ属(Genus Ornithoptera)は次の4つの亜属に細分されている。
[1] ビクトリアトリバネアゲハ亜属 (Subgenus Aetheoptera Rippon, 1890)
[2] アレキサンドラトリバネアゲハ亜属 (Subgenus Straatmana Deslisle, 2007)
[3] メガネトリバネアゲハ亜属 (Subgenus Ornithoptera Boisduval, 1832)
[4] ゴクラクトリバネアゲハ亜属 (Subgenus Schoenbergia Pagenstecher, 1893)
それらの亜属の分布域としては、ビクトリアトリバネアゲハ亜属がSolomon諸島、アレキサンドラトリバネアゲハ亜属がPapua New GuineaのPopondetta地域の極限られた地域、そしてメガネトリバネアゲハ亜属およびゴクラクトリバネアゲハ亜属がNew Guineaとその周辺の島々である[分布概念図2]。これらに所属するチョウはいずれも大型で、最大のものは開翅が24cmを超える個体もいる。また、オスの斑紋は亜属によってそれぞれ特有の美しさがあるが、メスは4亜属に共通した地色と斑紋をしていて同一種と思えないほどオスと異なっているのが特徴である。斑紋だけではなく、ビクトリアトリバネアゲハ亜属やアレキサンドラトリバネアゲハ亜属では前・後翅が細長い特有な翅形をしているし、さらに後翅の内縁に切れ込みがある。ゴクラクトリバネアゲハ亜属のゴクラクトリバネアゲハ種群(Paradisea-Species-Group)では特異な形をした尾状突起がある。