香川大学農学部安井研究室著作物

新タクサの紹介

新記載の報告(2026. 1)

Deslisle, G. (2026): Birdwing Butterflies NOVA, Part I (Lepidoptera, Papilionidae, Troidini)

Faunitaxys, 14(03), 2026: 1- 51.

https://doi.org/10.57800/Faunitaxys-14(03)

 

目次:インドネシア産の新タクサ

  1. Troides (T.) helena usmani ssp. nov. and karamianensis ♀-f. nov. (Karamian島)
  2. Troides (T.) helena helena Linnaeus, 1758, ♀-f. dea nov.(Bali島およびJava島)
  3. Troides (T.) criton criton Felder, 1860の新産地の記載(Kayoa島)
  4. Ornithoptera (S.) paradisea arfakensis f. loc. orientalis Dufek & Schäffler, 2006 and O. (S.) paradisea paradisea f. loc. kotaseaoe Dufek & Schäffler, 2006両亜種の未記載♀の報告。
  5. Ornithoptera (O.) croesus croesus f. loc. nobesi nov. and ♂-f. olivaceus nov.(Kayoa島)
  6. Ornithoptera (O.) croesus croesus f. loc. laantoni nov. (Muari島)
  7. Ornithoptera (O.) priamus hecuba f. loc. watubelaensis nov. (Watubela島)
  8. Ornithoptera (O.) priamus poseidon f. loc. aureus Parrott, 1987, ♀-f. madrinneae nov. (Arfak山脈, Irian Jaya)

 

解説:

1.Troides (T.) helena usmani Deslisle, 2026 and♀-f. karamianensis Deslisle, 2026

(分布)

INDONESIA [E. Java] Karamian (Karamai)島(南Kalimantan のすぐ南にある小島。Bawean島は南西へ、Kangean島は南東へそれぞれ約240Km離れた位置に存在する)。

(発見と原記載のエピソード)

2019年3月、Ode Usman氏により発見された25♂♂, 16♀♀に基づいて記載された。

(特徴)

本亜種はそれぞれ暗色型と明色型のみに限定されたKangean島(亜種antileuca)とBawean島(亜種nereides)の両亜種の起源であるという可能性がある。

(斑紋)

♂:(前翅)の白色翅脈条が欠如し、多くの個体で後翅の第6室に黒色翅室斑点が出現する亜種antileucaとは異なるし、後翅に一連の黒色翅室斑点が出現する亜種nereidesとも異なる。

♀:暗色型および明色型 (♀-f. karamianensis Deslisle, 2026) の2型が存在する。亜種nereidesは後翅の翅室斑が特有な汚灰黄色であるが、本亜種では黄色。

 

2. Troides (T.) helena helena Linnaeus, 1758, ♀-f. dea Deslisle, 2026.

INDONESIA [Java島産, Bali島]♀の明色型の極型で、♀-f. hycetus Rippon, 1906 (= albicans (Roepke, 1935))と同型。

3. Troides (T.) criton criton Felder, 1860

INDONESIA [Maluku] Kayoa島 (Halmahera島の中央部のやや南西部に位置)を新産地として報告。(注:本図鑑ではすでに記載されている)

 

4a. Ornithoptera(Sch.paradisea arfakensis f. loc. orientalis Dufek & Schäffler, 2006

この地域変異の生息地であるINDONESIA [Irian Jaya] Onin半島 (Fak Fak) 産の♀の初めての報告。亜種arfakensisより後翅は幅広く丸みを帯び、暗色外縁帯が著しく幅広いことから亜種として十分な特徴を備えていると考えられる。本図鑑ではO. (S.) arfakensis (?)orientalis Dufek & Schäffler, 2006として分類されている。

 

4b. Ornithoptera (Sch.) p. paradisea f. loc. kotaseaoe Dufek & Schäffler, 2006

この地域変異の生息地であるINDONESIA [Irian Jaya]Wandamen山脈(北東Wondiboi山脈)産の♀の報告。実はこの♀の標本の写真については、以前、論文の記載者であるDeslisle氏と大屋は検討したことがある。ここに提示された標本の後翅の翅室斑の色は乳白色であるが、大屋コレクションの標本(081-00780)は黄色である。結論に至るまでにはさらに多数の標本の検索が必要と思われる。なお、本図鑑ではO.(S.) paradisea chrysanthemum f. loc. (?) kotaseaoe Dufek & Schäffler, 2006として分類している。

5. Ornithoptera (O.) croesus croesus f. loc. nobesi Deslisle, 2026

and ♂-f. olivaceus Deslisle, 2026.

(分布)

INDONESIA [Maluku] Kayoa島。

(発見と原記載のエピソード)

2017年4 -5月にかけてLa Anton氏が採集した29♂♂, 20♀♀に基づいて記載された。

(特徴)

この地域変異は最北端に分布しているにも拘わらず、斑紋は最南端に棲息する地域変異wallaceiに最もよく似ている。種レベルでは亜種lydiusに近い。

(斑紋)

♂: 前翅表面の亜前縁帯が広く、中室端を巻き込み第4室まで広がる個体が多い。

♀:後翅の両面とも中室先端部に小白斑が常に存在する。(特徴)

(変異)

♂-f. olivaceus Deslisle, 2026(前・後翅の色調変異)両翅両面ともオリーブ緑色の幻

色で濃く覆われる。

 

6.Ornithoptera (O.) croesus croesus f. loc. laantoni Deslisle, 2026

(分布)

INDONESIA [Maluku] Muari島(Kasiruta島から約4Km北に位置する小島)

(発見と原記載のエピソード)

2023年4-5月にかけて現地の採集家であるLa Anton氏による10♂♂, 5♀♀に基づいて記載された。

(特徴)

♂の斑紋は金属様緑色で覆われる。♀のすべての斑紋は小さい。

(斑紋)

♂:亜前縁帯の形状はほぼ同形で、金属様オレンジ色と緑色の2色が目立つ。裏面の斑紋は

わずかにオリーブ緑色鱗で覆われる。

♀:前・後翅の斑紋が小さいか欠如するため、全体に暗く見える。

 

7. Ornithoptera (O.) priamus hecuba f. loc. watubelaensis Deslisle, 2026

(分布)

INDONESIA [Maluku] Watubela (Matabela)島(Kasiui島の約4Km南東にある小

島(約1x2Km))。

(発見と原記載のエピソード)

2022年1月、現地の採集家La Anton氏により採集された10♂♂, 10♀♀の標本に基

いて記載された。

(特徴)

本亜種の広範な分布域(Kai諸島―Tayandu諸島―Watubela 諸島)のうち未知であったWatubela島から初めて発見された。

(斑紋)

♂:前・後翅裏面の鮮やかな青と金属光沢のある緑の二色性が特徴である。

♀:前・後翅の白色斑紋は小さい。殆どの個体に見られる後翅裏面の黄色い肘脈はトリバネアゲハにおける新たな形態的特徴であり注目に値する。

 

8.Ornithoptera (O.) priamus poseidon f. loc. aureus Parrott, 1987

♀f. madrinneae Deslisle, 2026

INDONESIA [Irian Jaya] Arfak山脈産の♀の斑紋の色調変異。すべての斑紋が黄色で幾分緑色鱗を伴う変異michikoae Sumiyoshi, 1989に似ているが、この新変異madrianneaeは緑色鱗を欠如することで異なる。なお、本図鑑ではO.(O.) priamus poseidon Doubleday, 1847に分類している。

 

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