演題 「進化分子工学の現在地・・・「分子認識」と「触媒機能」」
講師 根元 直人、埼玉大学理工学研究科 特任教授、(株)Epsilon Molecular Engineering 代表取締役社長
日時 2025年9月26日(金)16:00 – 17:00
場所 農学部BW-106教室
要旨
進化分子工学はバイオテクノロジーの一分野である。一方で試験管の中で分子を進化させる技術である進化分子工学はいわば「生物(バイオ)を超える」ことが一つの目標といえる。35億年の地球上の生物進化では創造できなかった生体分子を人工的に作り出そうとする試みである。
かって物理学者のファインマンは「作ってみることで初めて人間は理解できる」というようなことを言っていたように記憶しているが、まさに「試験管中で分子を進化させることでタンパク質やペプチドを理解する」ことをしてきたように思う。
私自身は現在中外製薬やペプチドリームで中分子医薬開発の基盤技術となっているmRNA displayを開発し、これをより安定化・効率化したcDNA display技術で抗体を中心としたタンパク質やペプチドの進化による機能分子取得を行ってきた。
どのように生物を使わずに分子を進化させるか、その原理と応用について私自身の失敗も交えながら紹介すると同時に今後の進化分子工学の可能性についてお話したい。