第2回公開セミナー, June 24, 2011.

演題 「ゲノム研究からシステム生物学へ —生物学の大きなTurning point—」

講師 森 浩禎、奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科・統合システム領域・システム微生物学・教授

要旨 1980年代に議論が起こったゲノム解析研究。多くの議論を経て、1990年に始まったゲノムプロジェクトは、その後20世紀の最後の10年間に大きく生物学を変えるきっかけを与えた。開始当初は確固たる見通しも無い状態での開始であったが、多くの技術革新を生み出すこととなり、21世紀の始まりには、ヒトゲノムの全貌がほぼ明らかになった。1940年代半ばにDNAが遺伝子の実体であることが明らかにされ、その後の分子生物学の発展は多くの生命現象の分子機構の解明につながった。この根本に流れる考え方は、リダクショニズムだといえる。全体を個別の要素に還元してとらえようとする考え方である。多くの成功を収めたことは疑う余地がない。一方で、ゲノム研究のおかげで、全体を見ることが可能になってきた。全体を見ることが生物学をどのように変えてきたのかを振り返り、今後の生物学の流れを考えていきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です