第4回公開セミナー, November 25, 2011.

演題 「結晶化におけるキラリティーの自然発生」

講師 東屋 功、徳島文理大学 香川薬学部・教授

要旨 分子中に不斉炭素などの不斉要素を持たない化合物が、結晶化操作のみによって光 学活性な結晶を生じる「不斉結晶化(自然分晶)」は、絶対的不斉反応への応用や、生命のキ ラリティーの起源の解明という点で大変興味深い現象である。この現象は結晶核に生じた不 斉が結晶全体に増殖するという機構により起こるが、分子構造や結晶化条件との関連につい てはまだ明らかになっていない。演者らは不斉結晶化についてより多くの実例を集めるため、 これまでに芳香族スルホンアニリド誘導体(約550種類)、ベンゼントリカルボン酸誘導体(約 50種類)、o-フェニレンジアミンのアミド誘導体(約20種類)を合成し、そのX線結晶構造解析 および固体CDスペクトル測定を行った。その結果、計約60種類の化合物が不斉結晶化を示 すことを見出した。また、いくつかの化合物は、結晶化条件により異なる結晶形を与える結晶 多形(または擬似結晶多形)を示した。本講演では、これらの結晶構造の詳細に加え、結晶化 条件の簡便なスクリーニング法、不斉結晶化を示すための構造上の条件、さらに不斉結晶化 におけるキラリティー制御の可能性などについて述べる。

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