植物ゲノム・遺伝資源解析センター・ 応用生命化学センター合同セミナー, September 7, 2018.

演題 「植物と糸状菌に寄生する青枯病菌が持つ ユニークな菌密度依存の感染戦略」

講師 甲斐 健次大阪府立大学大学院生命環境科学研究科・講師

要旨 青枯病菌Ralstonia solanacearumは,ナス科を中心とした農作物に甚大な被害を及ぼす植物病原細菌である.本菌の病原性発現には,菌密度依存の遺伝子発現機構であるクオラムセンシング (QS)が必須である.演者は,本QS機構を制御する細胞間コ ミュニケーション分子が3-OH MAMEと3-OH PAMEであることを同定した(文献1).また,QS機構に制御される二次代謝産物 ralfuranone類とralstonin類を見出し,それらが宿主植物に対する病原力発現で重要であることも見出した(文献2,3).最近,青枯病菌が糸状菌に寄生することが報告され,ralstonin類が糸状菌への侵入・感染時に必須な因子である可能性が示唆された(文献 4).これまでの青枯病菌研究とは違った視点から,このユニークな細菌の感染戦略を見つめ直してみたい.

文献 1) Kai K et al., ChemBioChem, 16, 2309-2318 (2015). 2) Kai K et al., ChemBioChem, 15, 2590-2597 (2014). 3) Murai Y et al., Org. Lett., 19, 4175-4178 (2017). 4) Spraker JE et al., The ISME Journal, 10, 2317-2330 (2016).

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