トリチウム標識化合物の減衰と比活性の変化の計算

研究室用メモ(2026年10月10日改訂)

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トリチウム 3H の半減期は12.32 years。1年を分で表わすと525,600分(365日で計算)。秒で表わすと31,556,736秒(365.24日で計算)。12.32年は388,778,987秒。

時間 t = 0の時の原子数をN0とすると1秒後の原子数Nは

\[ N = N_0 \left(\frac{1}{2}\right)^\frac{1}{388778987} \] 1秒間に崩壊した原子数N’ (Bq) は \[ N’ = N_0 \times \left(1 – \left(\frac{1}{2}\right)^\frac{1}{388778987}\right) \] N0にアボガドロ定数6.02214 × 1023 mol−1を代入する。 \[ N’ = 6.02214 \times 10^{23} \times \left(1 – \left(\frac{1}{2}\right)^\frac{1}{388778987}\right) \simeq 1.07367685 \times 10^{15} \mathrm{Bq\,\, mol}^{-1} \] 1 Ci = 3.7 × 1010 Bqなので、 \[ 1.07367685 \times 10^{15}\,\,\mathrm{Bq\,\, mol}^{-1} \simeq 29018.29 \,\,\mathrm{Ci\,\, mol}^{-1} \simeq 29.02 \,\,\mathrm{Ci\,\, mmol}^{-1} \]

3Hが崩壊した後、標識化合物はPKCへの結合活性を完全に失うと仮定する。

購入した [3H]PDBu の比活性が 17.16 Ci mmol-1だったので、この試料は標識された化合物が59.13%、非標識化合物が40.87%含まれている。 比活性がどのように変化していくか計算してみた。

  • 崩壊後の生成物は、対象への結合活性を完全に失うと仮定する。
  • 自己放射分解などによる追加の劣化と、溶液体積の変化を無視する。
year% remainedlabelled/unlabelled比活性 (Ci mmol−1)モル濃度 (μM)
0 (2013)100.00%59.13 : 40.8717.165.300
1 (2014)94.53%55.90 : 40.8716.765.129
2 (2015)89.36%52.84 : 40.8716.364.966
3 (2016)84.47%49.95 : 40.8715.964.813
4 (2017)79.85%47.21 : 40.8715.564.668
5 (2018)75.48%44.63 : 40.8715.154.532
6 (2019)71.35%42.19 : 40.8714.744.402
7 (2020)67.45%39.88 : 40.8714.334.280
8 (2021)63.76%37.70 : 40.8713.924.164
9 (2022)60.27%35.64 : 40.8713.524.055
10 (2023)56.97%33.69 : 40.8713.113.952
11 (2024)53.85%31.84 : 40.8712.713.854
12 (2025)50.91%30.10 : 40.8712.313.762
13 (2026)48.12%28.46 : 40.8711.913.672
14(2027)45.49%26.90 : 40.8711.523.592
15(2028)43.00%25.43 : 40.8711.133.514
16(2029)40.65%24.04 : 40.8710.753.440
17(2030)38.43%22.72 : 40.8710.373.370
18(2031)36.32%21.48 : 40.8710.003.304
19(2032)34.34%20.30 : 40.879.633.242
20(2033)32.46%19.19 : 40.879.273.183
21(2034)30.68%18.14 : 40.878.923.128
22(2035)29.00%17.15 : 40.878.583.075

おまけ: 放射性同位体標識化合物が崩壊後にどのようになるか調べてみたがよく分からなかった。陽電子を放出するfluorodeoxyglucose (18F) の場合は自己放射分解 (autoradiolysis) によってglucuronic acid、arabonic acid、araburonic acid、gluconic acid、arabinoseといった酸化生成物が形成されるらしい1)。[3H]PDBuのβ崩壊後の変化の予想図を下のように書いてみたが、あくまで予想。

1) Búriová, E., Macášek, F., Melichar, F. et al. Autoradiolysis of the 2-deoxy-2-[18F]fluoro-D-glucose radiopharmaceutical. J. Radioanal. Nucl. Chem. 2005, 264, 595–602. https://doi.org/10.1007/s10967-005-0759-9

(了)

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