朝日俊雅博士研究員が、日本海洋学会奨励論文賞を受賞

 本賞は、日本海洋学会が発刊する学会誌「Journal of Oceanography」および「海の研究」の中から、特に優れた論文を発表した若年会員に対して授与されるものです。受賞論文は、沿岸域における海水中の懸濁粒子の起源について研究したもので、日本の代表的な閉鎖性水域である瀬戸内海播磨灘において、灘全域にわたる33観測点で四季を通して調査を実施しています。生物海洋学の分野では懸濁粒子の評価を行う際には、植物プランクトン量の指標となる光合成色素(クロロフィルa)、有機態炭素・窒素・リンおよび生物起源のケイ素などが測定されてきました。特に本論文では、リンに注目し、懸濁態のリンを全リンと無機態リンに分別定量することにより、干潟を含めた沿岸海域の海水中の懸濁物の起源推定やその特性評価の指標となり得る事を明らかにしました。本論文は朝日博士研究員が、大学院博士課程(愛媛大学大学院連合農学研究科)在学時代に本学で実施した研究成果です。本論文のリンに注目した新規性と多くの海洋観測に基づいた研究内容が評価されました。高速調査艇「カラヌスⅢ」を所有する香川大学・瀬戸内圏研究センターで且つ、栄養塩自動分析装置も完備し高い化学分析技術を有した本学農学部でしかなし得なかった研究と言えます。
 去る3月16日に東京大学の本郷キャンパス・安田講堂で行われた受賞式では、論文筆頭著者で博士研究員の朝日俊雅氏に表彰状と記念メダルが授与されました。

<対象論文>
Asahi, T., Ichimi, K. , Yamaguchi, H. and Tada, K. (2014) : Horizontal distribution of particulate matter and its characterization using phosphorous as an indicator in surface coastal water, Harima-Nada, the Seto Inland Sea, Japan, Journal of Oceanography, 70, 277 – 287.

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