酵母はお酒やパンなどの発酵食品、バイオエタノール生産などの産業分野にとって欠くことができない重要な微生物です。また、酵母は、産業分野のみならず真核生物のモデル生物として、これまでに細胞周期やタンパク質分泌、オートファジーなどの様々な生命現象の理解に重要な役割を果たしてきました。大隅良典先生が、酵母を用いた「オートファジーの仕組みの解明」で2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞されたのは記憶に新しいところです。
私たちは、酵母が真核細胞のモデルとしてヒトや植物と類似の細胞構造と機能を持つことを利用して、植物に感染する病原菌がもつ病原因子を酵母細胞で発現させて機能を解析するというユニークな研究に取り組んでいます。そして、世界中で農業上深刻な被害をもたらす植物病原菌である青枯病菌の病原因子の一つが、酵母を用いた解析からグルタチオンという植物免疫に重要な抗酸化物質を分解する酵素であることをスペインとフランスのグループとの共同で報告しています。最近では、香川県の重要な果樹であるキウイフルーツやオリーブに感染する病原菌の病原因子についても酵母を用いて研究を進めています。酵母を用いてこのような病気のメカニズムの理解が進むことが期待されます。 以上のように、様々な生命現象の理解に有用な酵母を用いて日々学生たちと一緒に議論しながら研究を進めています。
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