海洋に生息している植物プランクトンは、食物連鎖の出発点として、海の生物生産を支えている重要な微細藻です。一方で、我々が植物プランクトンを大量に培養することで、水産生物の餌料としての利用、CO2吸収やバイオ燃料の生成などカーボンニュートラル技術やエネルギー分野への貢献が期待されています。
植物プランクトンを培養し有効活用する上で、彼らの増殖スピードは生産効率の面で非常に大きな要素になります。当研究室では、従来種と比べて桁違いに速いスピードで分裂増殖する小型珪藻を瀬戸内海の河口域で発見し、スーパー珪藻と名付けて維持管理しています。本種(Chaetoceros属)は増殖スピードが速いだけでなく、一般種では光合成が阻害されてしまうような屋外の強光環境や35℃を超える高水温下でも良好に増殖します。
このように特殊な増殖能力を持った植物プランクトンを有効活用するべく、現在、本種を屋外で大規模かつ安定的に培養するシステムを構築する研究を行っています。また植物プランクトンの増殖には肥料成分が必要であることから、農学部附属農場とタッグを組み、家畜の排水を利用した培養試験を実施しています。
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