希少糖の食品加工特性を理解し、食品開発に応用

 砂糖は食品製造においてとても重要な材料です。砂糖を食品に添加するのは甘味を付与するためですが、その他にも砂糖には重要な働き(作用)があります。例えば、餅やパンなどのデンプン食品が硬くなるのを防いだり、洋菓子に使う卵白の泡(メレンゲ)が崩れるのを防いだり、多量に加えると食品中の細菌の増殖を抑制する作用があります。農学部食品科学コースでは、これらの作用が希少糖にもあるのか、また作用に砂糖と違いがあるのかを明らかにし、希少糖を使った食品の開発に役立てる研究を行っています。


 これまでに希少糖D-プシコースを使用してさまざまな食品(求肥、白玉団子、焼きメレンゲ、スポンジケーキ、バタークッキー、カスタードプリン、かまぼこ)を試作して、食品の物性や抗酸化性を調べてきました。一例として焼きメレンゲの特徴を紹介します。 焼きメレンゲの主な材料は卵白と砂糖です。卵白を泡立て器でかき混ぜると泡が立ちます。この泡立ったものがメレンゲです。メレンゲの泡は卵白のタンパク質が変性してできたものでとても不安定なので、時間がたつと徐々に壊れてしまいます。泡が壊れてしてしまうとメレンゲではなくなるので、この泡を安定化し、壊れるのを防ぐのに砂糖が使われています。こうして安定化されたメレンゲをオーブンで焼くと焼きメレンゲになるし、小麦粉やバターを混ぜてから焼成するとスポンジケーキになります。

 メレンゲに使う砂糖の30%をD-プシコースに置き換えて作製した焼きメレンゲの外観を図1に示します。D-プシコースを使うと焼き色が濃くなることがわかります。これはD-プシコースが卵白タンパク質とアミノカルボニル反応を起こしやすく、メラノイジンという褐色物質が砂糖だけ使用した焼きメレンゲよりもたくさん生じたためです。D-プシコースを使用した焼きメレンゲの物性を測定したところ、砂糖だけ使用したメレンゲよりも、硬く型崩れしにくいことがわかります(図2)。このD-プシコース使用焼きメレンゲを電子顕微鏡で観察してみると、砂糖だけ使用のものよりも内部組織がしっかりしていることがわかります(図3)。
 このようにして、希少糖を添加した食品の特徴を明らかにし、その成果を公表することによって、希少糖を使った特徴ある食品開発するための情報発信をしています。