第6回公開セミナー, July 13, 2012.

演題 「機能性食品とメタボリックシンドローム予防・改善」

講師 柳田 晃良、西九州大学健康福祉学部・教授

要旨 食物は体成分、エネルギーを確保し、生命を維持するための道具であり、しかも我々の楽しみでもある。先進国の人々はこれまでの歴史の中で経験したことのない濃厚な食生活をしており、いわば飽食の時代と戦っている。現在、飽食がもたらす心疾患、糖尿病、ガンなどの生活習慣病の増加は深刻化している。飢餓に苦しんだ祖先はエネルギーを保存する方法として「節約遺伝子」を獲得して飢餓に備えたが、しかし過剰エネル ギーを代謝する「すべ」を十分獲得しておらず、肥満を基盤とするメタボリックシンドロー ムの増大に直面している。メタボリックシンドロームは脳や心臓の血管障害、動脈硬化症などの重篤な疾病の基盤となる。人々の英知は、当然のことながら健康維持や病気の 予防・改善に対処する機能性食品や薬剤の研究に向けられている。

食品には、栄養機能、味覚機能だけでなく、第3次機能として生体調節機能があり、それの利用をめざした研究が盛んである。最近の研究では我々の想像以上に食事や生活習慣の改善が疾病予防・改善にも役立つことが明らかになっている。生活習慣病の予防・改善は個人のQuality of Lifeのみならず医療費(年間約30兆円)の軽減に大きく寄与する。

本講演では、肥満や脂質代謝異常を予防することができる機能性脂質(リン脂質、共役脂肪酸、構造脂質)の生理機能と、身近な農林水産物に含まれる成分のユニークな生理機能について紹介する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です