先日の文献セミナーで酵素阻害剤の阻害様式についてよく分かっていなくて、IC50とKiの関係について頓珍漢な質問をしてしまったのでメモ。
最初にまとめを引用します:
IC50とKi値の関係は、in vitroの試験では [S] >> Kmが成立するので、非拮抗阻害や不拮抗阻害ではIC50 = Kiであり、拮抗阻害ではKi = IC50/(1 + [S]/Km) からKi値が換算される(Km: ミカエリス定数、Ki: 阻害定数)
— 安達ら、2010
解説
- (純粋な)拮抗阻害(competitive inhibition; 競合阻害、競争阻害)では、阻害剤 I は E にのみ結合する。
- (純粋な)非拮抗阻害(non-competitive inhibition; 非競合阻害、非競争阻害)では、阻害剤 I は E にも ES にも同じ親和性で結合する。
- (純粋な)不拮抗阻害(uncompetitive inhibition; 不競合阻害、不競争阻害)では、阻害剤 I は ES にのみ結合する。
$$ {\mathrm{IC}}_{50} = \frac{[S] + K_{\mathrm m}}{\frac{K_{\mathrm m}}{K_{\mathrm i}} + \frac{[S]}{\alpha K_{\mathrm i}}} $$ この式は混合型阻害(mixed-type inhibition)に対するCheng–Prusoff式と同一。阻害様式の解析のために、IC50を [S]/Kmに対してプロットしたいので、上の式を変形すると以下のようになります。
- (純粋な)拮抗阻害では、\( \alpha = \infty\) であり、