2023年3月に修士課程を修了した鈴木さんの研究が、先月末に日本農芸化学会の英文誌Bioscience, Biotechnology, and Biochemistryに受理されました。現在オンラインで校正前のAccepted manuscriptが先行公開されています。
https://doi.org/10.1093/bbb/zbae091
Yanagita RC, Suzuki Y, Kawanami Y, Hanaki Y, Irie K. Effect of phenolic-hydroxy-group incorporation on the biological activity of a simplified aplysiatoxin analog with an (R)-(−)-carvone-based core. Biosci Biotechnol Biochem. 2024 Jun 27:zbae091. doi: 10.1093/bbb/zbae091. Epub ahead of print. PMID: 38936828.
論文タイトルの和訳は『(R)-(−)-カルボンを基盤とするアプリシアトキシン単純化アナログの生物活性に対するフェノール性水酸基の導入の影響』です。
これまで合成されたアプリシアトキシン単純化アナログでは、フェノール性水酸基の有無によってプロテインキナーゼC結合活性と細胞毒性に大きな影響はなく、フェノール性水酸基を欠くとin vitroでの発がんプロモーションを示すことが明らかにされていました。それに対して、本研究で合成されたアナログでは、フェノール性水酸基の導入によってプロテインキナーゼC結合活性と細胞毒性が顕著に向上しました。その理由については、分子動力学シミュレーションによる「錬金術的」自由エネルギー計算の結果から考察しています。