アマミノクロウサギ

 アマミノクロウサギ(Pentalagus furnessi)は鹿児島県の奄美大島、徳之島にのみ生息するウサギで、国の特別天然記念物に指定されており、これまでに交通事故やイヌ、ネコ等により傷を負った個体は保護されてきました。しかし、保護の際に参考とするアマミノクロウサギの食性に関する情報は不足しており、これまでに行われた食性解析は摂食が確認された植物の記録や死亡個体の胃内容物調査のみであり、確認された個体数も少ないのが現状です。 このため、保護個体の飼育は治療以外に食べてくれそうな植物を採取してくるといった多大な労力が必要となります。

動物栄養学研究室では、野生個体の糞便中に含まれる植物DNAを抽出し、遺伝子解析を行うことで野生個体がどのような植物を摂取しているのか調べています。また、鹿児島県平川動物公園で保護されている個体の栄養素消化率も調べており、栄養生理の面でのアナウサギとの違いについても調べています。